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【社会】

「東村山音頭」聴き納め? 西武新宿線の発車メロディー31日まで

「東村山音頭」を発車メロディーにしている東村山駅。右側で、高架化に向けた工事が進む=東京都東村山市で

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 ♪ひがしむらや〜ま〜…は聴き納め? 西武鉄道は、東村山駅(東京都東村山市)で西武新宿線の発車メロディーに使用している「東村山音頭」を、今月いっぱいで打ち切る。駅周辺の高架化工事が今春本格化するのを見越し、「期間限定」で始まったメロディー使用が、期限を迎えるためだ。同市出身のタレント志村けんさんが全国に広めたご当地ソング。市民から工事後の復活を求める声が出ている。 (萩原誠)

 「このメロディーを聴くと明るい気分になるね」。東村山駅を利用している本田覚さん(55)が話す。新宿線の発車メロディーは、下りの四番ホームが「東村山音頭」の前奏。上りの五、六番ホームが歌い出し部分だ。「高架化したら、また流してほしい。志村さんが東村山を全国に広めてくれた歌なんだから」

 曲は二〇一四年十二月、東村山市が市制施行五十周年記念に流し始めた。市と西武鉄道が交わした確認書で、期間は今年三月までとなっていた。

 期間限定で始まった背景には、駅周辺の高架化工事がある。西武鉄道は工事本格化に合わせて今月二十六日にダイヤを改正し、これまで上り電車のみだった五番ホームに、下りの特急も停車するようになった。下り用の「前奏」と、上り用の「歌い出し部分」が一つのホームに流れることになると、「乗務員や乗客が混乱し、安全上、好ましくない」(西武鉄道広報部)。確認書で期間限定にしたのは、こうした事情を見越したためだった。

 市は今年に入り、西武鉄道に曲の継続を申し入れたが受け入れられず、高架化完了後の復活を求めていくことにした。市はホームページでメロディーを聴けるようにしている。

 市企画政策課の安保雅利課長は「市民のソウルミュージックともいえる東村山音頭。郷土愛を盛り上げ、来てくれた人を温かく出迎えるため、復活へ協議を続ける」と力を込めた。

 西武鉄道広報部は「市から協議の申し入れがあれば、あらためてゼロから検討する」と話している。

◆期間限定から延長も

 地元ゆかりのヒット曲などを発車メロディーにしている駅の中には、東村山駅のように当初は期間限定だったが、利用客の声を受けて延長したケースもある。

 JR東日本青梅線の西立川駅(東京都立川市)では、松任谷由実さんが同駅をモチーフに作詞作曲した「雨のステイション」が流れている。JR東日本八王子支社によると、地域に親しまれる駅づくりの一環で、二〇〇六年三月三十一日に始めた。当初は、この曲を収めたアルバムのレコード会社との話し合いにより、同年六月三十日までの三カ月限定だった。

 ところが、駅利用者から「駅周辺の静かな情景にメロディーが溶け込んでいる」「もっと続けてほしい」などと、好評の声が寄せられた。このため同支社は松任谷さんの所属事務所と協議し、同年七月以降、一年間の延長を決めた。その後も利用者から好評の声が寄せられ、現在も続いている。

 <東村山音頭> 1961年、当時の東村山町農協などが「『東京音頭』に負けない郷土の民謡を」との思いを込めて製作。歌手三橋美智也さんと下谷二三子さんがレコードに録音した。70年代に、東村山市出身のタレント志村けんさんがテレビ番組「8時だョ! 全員集合」で、歌詞を面白おかしく変えるなどアレンジした曲を披露。子どもを中心に爆発的な人気となり、東村山の名が全国に広がった。

 

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