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金剛山歌劇団訪朝、忠誠公演へ 北ミサイル発射、賞賛宣伝も
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)傘下の金剛山歌劇団(東京都小平市)が来月開かれる北朝鮮の芸術祭典に参加することが28日、分かった。朝鮮総連関係者が明らかにした。公演で金正恩第1書記に対する忠誠心を示す狙いがある。すでに一部の劇団員が渡航した。芸術集団を自称しながらも、北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射をたたえる公演を行うなど政治的な宣伝機関としての役割も果たしているため、政府が監視を強めている。
関係者によると、劇団員数人が今月中旬、4月中旬に開催する金日成主席の生誕を祝う「春親善芸術祝典」で公演するため訪朝した。今後、総勢十数人の劇団員が数回に分けて順次訪朝する予定で、平壌で舞踊などを披露する。
劇団は、今年2月に北朝鮮で開催された金正日総書記の生誕を祝うイベント「祝福あふれる祖国の明るい未来」でも公演。同月7日に発射された北朝鮮の弾道ミサイルを「光明星4号」と称し、金第1書記の「指導により成功した」「領導により、在日朝鮮人運動の全盛期を切り開いた」と述べ、偉業としてアピールした。金永南最高人民会議常任委員長が観覧した。
劇団の公演は国内で年間数十回行われ、数億円の売り上げを誇る。利益の一部を朝鮮総連の影響下にある朝鮮学校に寄付している。
朝鮮総連は産経新聞の取材に対し、「取材は受けていない」としている。
■金剛山歌劇団 舞踊や楽器演奏を国内外で披露する朝鮮総連傘下の芸術団体。1955年、在日朝鮮人による「在日朝鮮中央芸術団」として設立。74年、北朝鮮が活発な公演活動を評価して金日成勲章を授与したのを契機に改名した。