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第十話 異世界学園ときたら模擬線でしょ
この世界、というより魔族の世界は実力主義だ。
強い奴が上に立ち、弱い奴が下を這う。
オレ達Aクラスは特待生でイジメられることはないのだが、Dクラスは差別される。
まず、食堂が使えない。故に自分で調達しなければならない。
次に勉強環境。これは最悪と言っていい。勉強を受けさせてくれるのはいいほうだが、机はボロボロでノートも何もかも支給されない。
それは例え貴族だろうと容赦はされない。乱暴されたって文句は言えない。
━━━で、それはもちろんクラス内でだって起きる。
階段上の席順となっているオレの机の隣に男が二人、昆虫一匹、そいつらがオレを見下し睨んでくる。
「決闘しろ」
………ナニイッテルノカワカンナイ
「お前のような軟弱者はイーラ様の側に仕えるには相応しくない、その座をかけておれと勝負しろ!」
仕えてるつもりはないんだけどなぁ………
「無論お前に拒否権はない」
こいつらはアホなのか?
………あんな問題出される学校にいるからアホなのか……
仕方ない……ここはいっちょ、一肌脱ぎますか
◆◇◆◇◆◇◆◇
ホームルームが始まるまで三十分近くある。
その時間を利用して決闘場で模擬戦をする。
決闘場は円形闘技場になっており大勢の観客が集まっている。よくあることだそうだ。
「ルールは簡単だ。先に戦闘不能となる、もしくは降参を宣言したほうが負けだ。いいな!」
「あいあい」
適当な返事で返すと相手の額に青筋が浮かぶ。
怒りっぽい性格だなぁ
「【陽炎の檻】!」
「【水竜の激昂】!」
「【大地を穿つ狼牙】!」
二人と一匹の生徒が同時に魔法を放つ。
炎の檻がオレを包み
荒れ狂う水竜が俺に向かい
大地より生えし土の狼がオレの体を噛み千切ろうと牙を立てる
それに対しオレは、おもむろに手を天にかざし呪文を唱える。
「━━【バ○ムーチョ】」
俺が魔法を唱えると天に届くほどの竜巻が闘技場内に発生する。
竜巻は土の狼を砕き、炎の檻をかき消し、水竜を吹き飛ばした。
三人の魔族は口をあんぐりと開け呆然とオレを見ている。(昆虫の表情は読み取れない)
「おいおい、上級魔法二つと高級魔法一つを打ち消したぞ」
「なんだあの魔法は………」
「あの一年……たしかイーラ様と一緒にいたような………」
「てことは魔王軍の秘密兵器か?」
様々な言葉が闘技場を行き交う。
「………もう終わりか?」
オレがそう言うと魔族三人は勢い良く土下座をし降参をする。
案外あっけないものだな
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