王将、不適切取引260億円 射殺事件前に内部報告
王将フードサービス(京都市山科区)の大東(おおひがし)隆行前社長=当時(72)=が2013年12月に射殺された事件を受け、同社と暴力団など反社会勢力との関係の有無を調べていた第三者委員会は29日、「反社会勢力との関係の存在は確認できなかった」とする調査報告書を公表した。一方、王将創業家と親交が深い会社経営者との間で約10年前まで不適切な取引が続き、王将から約200億円が流出していたことを明らかにした。
弁護士ら3人の委員が1~3月、創業家や同社役員ら32人に聞き取りした。取引先約1400社については、新聞や調査会社などのデータで判断し、「反社会勢力との関係はない」と結論づけた。
また、第三者委は、王将が過去の不適切な取引について、射殺事件前の13年9月にまとめた内部報告書をあらためて検証した。王将は1995年から10年間、この会社経営者が関係する企業グループとの間で、多額の貸付や不動産売買など総額約260億円に上る不透明な取引を繰り返し、約200億円を流出させた。うち、約170億円が未回収になったという。
王将は現在もこの企業グループとの取引を一部継続しており、第三者委は「現経営陣は漫然と維持し、事実認識の不十分さと問題意識の希薄さに起因する」と批判、この会社経営者を「接点を絶たなければならない相手だ」と指摘した。
29日に会見した王将の渡邉直人社長は、会社経営者については「反社会的勢力との認識はない」とする一方で、関連企業との契約を打ち切る意向を示した。
第三者委は、大東前社長射殺事件をめぐり、九州に拠点を置く暴力団員が関与した可能性が報道されたことを受け、今年1月に設置された。
【 2016年03月29日 23時50分 】