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【外交・安保取材の現場から】3・29安保法施行 でも駆け付け警護や米艦防護など重要任務は先送り…ホントにこれでよいのか?

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【外交・安保取材の現場から】
3・29安保法施行 でも駆け付け警護や米艦防護など重要任務は先送り…ホントにこれでよいのか?

安保関連法の施行日を決める閣議に臨む安倍晋三首相ら=3月22日、首相官邸(斎藤良雄撮影) 安保関連法の施行日を決める閣議に臨む安倍晋三首相ら=3月22日、首相官邸(斎藤良雄撮影)

 さらに、自衛隊が平時から米艦を守る「武器等防護」も、日米同盟の抑止力を高めるための新任務だ。北朝鮮の弾道ミサイルへの警戒監視や、南シナ海での情報収集での米国との関係強化が期待される。

 幹部自衛官は「これらの新任務が必要となる事態はいつ起きても不思議はない。喫緊の課題だ」と指摘する。

 当初、一連の任務は安保関連法の施行と同時に自衛隊部隊に付与されるとみられていた。ところが、中谷元・防衛相は3月22日の記者会見で、当面は先送りすることを表明した。その理由について「(駆け付け警護などを行うための)国内での準備訓練を十分に実施するには時間が不足している」と説明。米軍の武器等防護については「適切な運用を図るために米軍に十分な理解を得る必要がある」と述べた。

 しかし、昨年9月の安保関連法成立から施行までの間、政府は新任務の実施に必要な訓練や米軍との調整に着手してこなかった。新任務の付与を施行に間に合わせる気がなかったのは明白だ。幹部自衛官は「政府は『切れ目のない』安全保障体制を目指したはずだが、施行後も切れ目は残ったままだ」と漏らす。

 政府が訓練実施や任務付与を控える背景には、7月の参院選の存在があるようだ。「安保関連法に対する世論の理解はまだまだ十分ではない」(官邸筋)とされ、いらぬ反発を招きかねない訓練などは先送りさせたいというのが本音だ。

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