蹴球探訪
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(3月16日)
【首都スポ】テコンドー娘、川口市出身の松井 夢の五輪へメークドラマ!!2016年3月29日 紙面から
「足のボクシング」と例えられるテコンドーで、今夏のリオデジャネイロ五輪出場を狙う若き女子武闘家がいる。埼玉県川口市出身の松井優茄(HANARO道場)だ。テコンドーが国技の韓国人指導者が太鼓判を押すほど負けん気の強さと根性があり、練習からメークばっちりの22歳。今春に日体大を卒業、新社会人となる節目の年に、リオ五輪アジア大陸予選(4月16〜17日、フィリピン・マニラ)の49キロ級で、競技人生最大の夢を懸けた大一番に挑む。 (フリージャーナリスト・辛仁夏) バチッ! バシッ! 練習相手と蹴り合う音が響く。コーチのゲキが飛ぶ中、激しいスパーリングが息つく間もなく続く。リオ五輪を目指す松井の練習は、見ているだけで痛みを感じるほどだった。その練習相手は2歳下の弟・隆弥(20)で、もう1人の弟・隆太(16)との3きょうだいはいつも一緒。午前6時から約2時間の朝練をこなし、夕方からは約3時間のハードな練習で蹴り込みなどの足技を磨く、休みなしの毎日だ。 「朝練は体力トレーニングで、陸上選手並みのメニューです。練習相手は男子ですが、特にハンディもないです」 松井が多彩な足技(蹴り)が特徴のテコンドーを始めたのは、小2の時。母・ゆかりさん(42)がスポーツセンターに連れて行き、たまたまやっていたテコンドーと出会った。初めは「こわくてやりたくなかった」が、勝つことの楽しさから次第にその魅力に取り込まれた。高校時代に全日本ジュニア選手権で2度優勝し、一昨年に学生女王、昨年はついに全日本選手権46キロ級を制して日本一に輝いた。2014年からはテコンドーが国技の韓国から来た閔庚承(みん・きょんすん)コーチ(42)に師事して急成長し、実績と経験を積んできた。 その成果を、今年1月のアジア大陸予選「日本代表選手最終選考会」で十二分に発揮した。自身の46キロ級は五輪種目でないために1つ階級を上げ、49キロ級で全日本覇者ら並み居る強敵に挑んだ。初戦から全7試合を戦い抜き、見事に夢の扉を開く鍵を手に入れた。あとは、各階級上位2人に与えられる五輪出場権を争う大舞台に全てを懸ける。 「閔コーチに指導を受けてから強くなった実感と手応えがあり、試合で自信が持てる練習ができています。オリンピックに出たいという夢は高校生のころからで、結果が出るようになって現実味を感じています」 負けず嫌いという松井の武器は「前脚のカットと左足蹴り」。華麗な蹴り技は切れ味鋭く、男子相手でも見劣りしない。蹴り合いの格闘技をきわめる女子だが、体格は細身できゃしゃ。「すっぴんでは歩きたくないし、メークをしないと下を向く感じになるので必ずしますね」。普段からメークはばっちりで、練習でも試合でも欠かさない。恋愛話や理想の結婚については「恋愛せずに結婚したくて、相手から電話もメールもなくていいし、1カ月に1度帰ってくればいい。お金だけもらって、かわいい子どもがいればいいかな」と、あっけらかんと笑う。 テコンドーにすべてを注ぐ22歳が、負けたら終わりのトーナメント戦を勝ち抜いて五輪切符を手にできるか。 「そんな簡単に勝てる試合ではないので、対戦相手をしっかり分析してどう戦うかを考えて臨みます。予選では自分の力を全部出し、決勝まで残ってオリンピックに行くことが目標です! 」。負けるつもりはサラサラないと、きっぱりと宣言した。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中 PR情報
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