首相会見 税収増を介護や子育てに 予算前倒し執行を

首相会見 税収増を介護や子育てに 予算前倒し執行を
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安倍総理大臣は、新年度・平成28年度予算が成立したことを受けて29日夜、記者会見し、アベノミクスで得られた税収の増加分を介護や子育て支援の充実に充てる考えを強調したうえで、日本経済の再生に向けて可能なものから予算を前倒しして執行するよう、麻生副総理兼財務大臣に指示する考えを示しました。
この中で安倍総理大臣は、「この予算によって一億総活躍社会の実現に向けた新しい取り組みが始まる。3年間のアベノミクスによって国民総所得は40兆円近く増加し、国の税収は15兆円増えた。この果実を生かし、誰もが活躍できる一億総活躍の時代を切り開くための力強いスタートを切る予算だ」と述べました。
また、安倍総理大臣は、介護や子育て支援の充実を図る考えを強調したうえで、「最大のチャレンジは働き方改革だ。正規か非正規かといった雇用の形態にかかわらない、均等待遇を確保する同一労働同一賃金の実現に踏む込む考えだ。10年先の未来を見据えながら、大胆かつ総合的な政策を『ニッポン一億総活躍プラン』として5月に取りまとめたい」と述べました。そして安倍総理大臣は、介護や子育てをしながら仕事を続けることができる社会を作るためにも、介護や保育の受け皿整備を一層加速し、未就学児だけでなく、小学生の学童保育も含めた待機児童ゼロの実現を目指す考えを強調しました。
また、安倍総理大臣は、教育への支援も抜本的に拡充するとして、家庭の経済事情に関係なく希望すれば大学や専修学校に進学できるよう、可能なかぎり速やかに、必要とするすべての子どもたちが利子のない奨学金を受けられるようにするとともに、社会に出たあとの所得に応じて返済額を変化させることで、過度な負担にならないよう配慮する考えを示しました。
そのうえで安倍総理大臣は、「これまで繰り返し『来年度予算の早期成立こそが最大の経済対策である』と申し上げてきた。その実を上げるためには、この予算を早期に執行することが必要だ。可能なものから前倒し実施するよう、財務大臣に早速指示する」と述べました。
一方、安倍総理大臣は、「わが国の雇用・所得環境は順調に改善を続けており、日本経済の回復傾向に変わりはない。他方で年明け以降、中国の景気減速への懸念、原油価格の低下などを背景に、世界経済の不透明さが増していることも事実だ」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は、「ことしの5月には伊勢志摩でG7サミットが開催される。G7による政策協調が求められているなか、議長国としてその責任を果たしていかなければならない。世界経済の持続的かつ力強い成長を実現していくために、日本としてどのような貢献をしていくべきか世界のリーダーたちと議論していきたい。議論を尽くしながら見極めていきたい」と述べました。
また、安倍総理大臣は、消費税率の引き上げについて、「来年4月の消費税率10%への引き上げは、世界に冠たる社会保障制度を次世代にしっかりと引き渡していくため、また、市場や国際社会の信認を確保するために、リーマンショック、あるいは大震災のような事態が発生しないかぎり、来年、予定どおり引き上げていく考えには変わりはない」と述べました。
一方、安倍総理大臣は、夏の参議院選挙に合わせて衆議院の解散・総選挙を行う衆参同日選挙について「衆議院の解散ということについては、頭の片隅にもない」と重ねて述べました。