プロレスの格言にこんな言葉がある。
「猪木なら箒(ほうき)が相手でもいい試合ができる」
つまり、アントニオ猪木のような良いレスラーは、例えホウキが相手でも敵の能力をすべて引き出した上で、自分の能力を最大限発揮しファンの心に残る名勝負をするという意味だ。
嫁と時間無制限一本勝負を始めたのは4年前。当時、ワタクシは家事をしない嫁に不満ばかりを漏らして、嫁の良いところを探そうとすらしていなかった。試合前から、ファイトマネーの配分に対して文句を言っているようなものだった。
デキちゃった結婚だったため、花束贈呈をしている最中に殴りかかられてゴングが鳴り、突然試合が始まったかのように少し混乱していた。しかし、冷静に考えてみれば、嫁はお約束を守ったに過ぎなかった。
試合が落ち着いて冷静になってくると、嫁の良いところを見つける余裕が出てきた。頑張って育児もするし、買い物もしてくる。近所のママ友とご近所付き合いもちゃんとできる。
相手は自分の持っていない能力をたくさん持っていた。それを直視せずに、ワタクシは反則だ!と、いるハズもないレフェリーに文句ばかり言っていた。ワタクシは良いレスラー(夫)ではなかった。自分をアントニオ猪木だと勘違いしている春一番だった。
D・カーネギー先生の名著「人を動かす」にこんなことが書いてある。
嫁に好かれる六原則⑥
心からほめる
人間はだれでも周囲のものに認めてもらいたいと願っている。自分の真価を認めてほしいのだ。小さいながらも、自分の世界では自分が重要な存在だと感じたいのだ。見えすいたお世辞は聞きたくないが、心からの賞讃には飢えているのだ。
「人を動かす」140ページより引用
この「心から」ほめるというのは、小手先でほめるのではなく、よきライバル(妻)として相手を「尊敬」しなさいと言い換えた方がよく理解できる。
相手を尊敬するためには、まず、ありのままの相手を認める必要がある。相手は、得意も不得意もあって、気分屋でたまに珍行動をする普通の人間なのだ。自分がそうであるように。
そう考えると相手の良いところを探して、心から尊敬することができる。正々堂々と正面からぶつかって、いい試合をすることができる。
実際の試合では、藤原組長みたいな姑氏が敵側に緊急参戦したり、ヒロ斉藤みたいなちっちゃいのも生まれて敵に回り、いつの間にか1対3変則マッチになってしまったが、さらに面白い試合ができる状況になったと思えばいい。
このことがわかり始めてから、嫁を動かすことができるようになった。相手をロープに振れば勢いよく返ってくることがわかった。試合の流れも変わったし、自分も変わった。
お笑い芸人の春一番先生は、アントニオ猪木先生を心から尊敬していた。そして、なぜか良妻にも恵まれた。猪木先生に「生まれ変わったら、春一番の奥さんを嫁にもらう」と言わしめたほどだ。
たぶん、春一番先生は人を尊敬する能力に長けていたのだと思う。人を尊敬することができないと、嫁さん一人幸せにすることができない。
こんなブログを書きながら、ワタクシも嫁を尊敬することができるようになった気がしている。次はどんな技を嫁が繰り出してくるのかワクワクしている。
そして、今日もホウキを手に取り掃除を始めるのであった。