・世界を変えるデジタルトレンド「AI」「FinTech」「ドローン」「自動運転」「IoT」コーナーを新設しました。

ニュースの深層

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

最強ライバル、ドイツ 「産学官連携」強みとリスク
自動車産業の行方(2)

(1/3ページ)
2016/3/29 6:30
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

日経テクノロジーオンライン

 ガソリン自動車の誕生から2016年で130年。長きにわたって経済界の主役の一角をはる自動車産業は今後さらに成長するのか、逆にどんな死角があるのか――。連載「自動車産業の行方」では、コンサルティング会社のアーサー・D・リトル(ジャパン) パートナーの鈴木裕人氏に、自動車業界を取り巻く各国の産業構造(セミマクロ)や世界の自動車メーカーのポジショニング、さらに将来のビジネスモデルの変化を捉え、自動車産業の持続可能性をさまざまな角度から検証してもらう。今回は、日本の自動車産業にとって最大のライバルであるドイツに焦点を当てて、その強みと弱みを分析する。

BMWが創業100周年のコンセプト車として公開した「ビジョンネクスト100」(3月7日、ミュンヘン)
画像の拡大

BMWが創業100周年のコンセプト車として公開した「ビジョンネクスト100」(3月7日、ミュンヘン)

 最初に、ドイツ全体のGDP(国内総生産)成長率と大手完成車メーカー3社の1980年代からの売上・利益の推移を見てみよう。同国の経済成長の過程の中で、1990年の東西ドイツ統合、そして2000年前後のユーロ導入および東方拡大の二つの変化点が大きなインパクトを示していることが分かる。

 2015年のギリシャ危機などの結果として明らかになったように、EU(欧州連合)経済圏の拡大の恩恵を最も享受してきた国がドイツであり、それはドイツの主要企業の業績拡大によっても裏付けられている(図1)。

図1 ドイツ大手3社(VW、Daimler、BMW)の過去の売上・利益規模推移
画像の拡大

図1 ドイツ大手3社(VW、Daimler、BMW)の過去の売上・利益規模推移

■最大のリスクは「EU崩壊」

 一方で、ユーロ導入後のドイツとその近隣諸国との間の競争力という点で貿易収支を比較すると、ユーロ導入後にドイツが持続的に貿易黒字幅を拡大しているのに対して、フランスやイタリア、スペイン、英国といった他のEU主要国は貿易赤字に甘んじることが多くなっている。これが、ドイツの欧州域内での相対的産業競争力の強化が、結果として近隣窮乏策となっていることの証左である(図2)。

図2 ユーロ導入後の欧州主要各国の貿易収支の推移
画像の拡大

図2 ユーロ導入後の欧州主要各国の貿易収支の推移

 こうしたドイツの勝ち過ぎに対する批判は、ギリシャ危機への対応の際にもかなり強調されていた。南欧諸国のみならず、英国までもが自国単独の利益とEU全体の利益との天秤の中で、EUからの離脱を検討し始めている。換言すれば、このEU崩壊シナリオこそが、ドイツにとっての勝利の方程式を根底から覆しかねない最大のリスクであろう。

  • 前へ
  • 1ページ
  • 2ページ
  • 3ページ
  • 次へ
小サイズに変更
中サイズに変更
大サイズに変更
保存
印刷
リプリント
共有

電子版トップテクノロジートップ

関連キーワード

ドイツ、自動車、産学官連携、欧州連合、CFRP、BMW、Volkswagen、Daimler

ドイツの先端技術と産学官連携

日経BPの関連記事

【PR】

【PR】

ニュースの深層 一覧

フォローする

Myニュース

有料会員の方のみご利用になれます。
気になる連載・コラムをフォローすれば、
「Myニュース」でまとめよみができます。

BMWが創業100周年のコンセプト車として公開した「ビジョンネクスト100」(3月7日、ミュンヘン)

最強ライバル、ドイツ 「産学官連携」強みとリスク

 ガソリン自動車の誕生から2016年で130年。長きにわたって経済界の主役の一角をはる自動車産業は今後さらに成長するのか、逆にどんな死角があるのか――。連載「自動車産業の行方」では、コンサルティング会…続き (3/29)

2015年10月に開催された東京モーターショーでイチロー選手(左)とプレゼンテーションするトヨタ自動車の豊田章男社長(右)

勝ち続けられるか、日本のクルマ産業 世界から見た「強み」

 ガソリン自動車の誕生から2016年で130年。長きにわたって経済界の主役の一角をはる自動車産業は今後さらに成長するのか、逆にどんな死角があるのか――。連載「自動車産業の行方」では、コンサルティング会…続き (3/23)

図1 コンペに勝利した「A案」。大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVによるA案は、同一断面が水平方向に連続するシンプルな構造で「工期短縮」の実現性が高く評価された(資料:新国立競技場整備事業大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所共同企業体作成/JSC提供)

決め手は工期 隈研吾の「新国立」案、勝利の深層 [有料会員限定]

 建築家の隈研吾氏と伊東豊雄氏が火花を散らした、新国立競技場の新整備計画のプロポーザル。A案の隈陣営が勝った理由は工期短縮の「実現性」だ。デザインの類似性を指摘するザハ・ハディド氏の動静が、今後の進捗…続き (3/22)

新着記事一覧

最近の記事

【PR】

日経産業新聞 ピックアップ2016年3月29日付

2016年3月29日付

・大日本印刷、タブレットで学習支援
・河西工業、クルマ内装に機械縫製で高級感
・みんな電力、再生エネ選び電力購入
・東洋アルミ、インドに顔料工場、車・建築向け
・ブリヂストン、速く進む自転車開発…続き

日経産業新聞 購読のお申し込み
日経産業新聞 mobile

[PR]

関連媒体サイト