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 原爆の衝撃に耐え、被災者が爆心地側から逃れる「命の橋」になった広島市南区の「猿猴(えんこう)橋」が戦前の姿に復元された。28日に完成式典があり、電飾がともると歓声が上がった。

 猿猴川にかかる橋は1926年に架け替えられ、地球儀の上に翼を広げて羽ばたくワシの装飾が四隅の親柱に、2匹の猿が桃を捧げ持つ鋳物の透かし彫りが欄干に施された。「広島一の贅(ぜい)を尽くした橋」と言われたが、戦時中の金属類回収令で装飾品は外された。

 地元有志による復元の会結成から8年。大橋啓一会長(69)は「この日を迎えられ感無量です」。点灯式に立ち会った地元の大学1年、高橋恭平さん(19)は「誇れる橋がよみがえってうれしい」と喜んだ。(泉田洋平)