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ちょっと自由に生きるコツ

見方を変え気持ちを変えるとちょっと自由になれるかも。 ビジネスマン向けのメソッドから、日々の雑感までを綴っていきます。

左遷や降格など納得のいかない人事の裏側にあるもの

人事評価(人事考課)

人事異動の季節

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もうすぐ4月、入社・退社にあわせて、多くの会社で人事異動があります。

異動の内示を受け、4月から職場を変わられる方、また、中には、転居を伴う異動で、引越し準備に追われている方もいらっしゃるでしょう。

新しい暮らし、是非、楽しんでいただきたいと思います。

 

さて、会社勤めを続けていると、否が応でも「人事」の対象者となります。

良い人事であれば、本当に嬉しいものですが・・・、そうでない場合も。

むしろ、人事は「自分にとっては良くない」と感じることのほうが多いような気がします。

 

左遷や降格はもちろんですが、そこまで行かなくとも、納得のいかない人事にめぐり合わせることもあります。

その背景に、一体なにがあるのかを記したいと思います。

 

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 納得のいかない人事

 納得のいかない人事には2種類あります。ひとつは自分の人事、もうひとつは他人の人事。この2つを具体的に区分すると以下のようになります。

 

自分の人事

  1. 降格させられた
  2. 地方(田舎や海外など望まぬ場所)に飛ばされた
  3. 望まない仕事を担当させられることになった
  4. 昇格・配置替え・担当替えがなかった

 

これらが単独で起きる場合もあれば、複合する場合もあります。

また、3は、部署異動がなくても、担当替えや他者がやっていた仕事を追加で割り振られる場合を含みます。

4は、「そろそろ、異動がある」と上司から言われた、あるいは、自分で思っていたけれど、実際にはなかったという場合です。

 

 他人の人事

  1. 自分が認めていない人が昇格した
  2. 自分が認めていない人が出世コースに乗った

まさに、「なんで、あんな奴が!」という場合ですね。

 

余談ですが・・・、上に記載した「自分の人事」、私は4つとも経験しました。

(ただし、1については「降格」ではなく「横滑り」でしたが、実質的には降格みたいなものでしたので、カウントしています)

なぜ、そのような人事となったのか、一応の理由説明は受けましたが、その当時は、なかなか納得できなかったですね。

 

また、「他人の人事」で納得いかないことは、年がら年中ありました(笑)。

まさに他人事ですから、ほうっておけば良いのですが、義憤半分、嫉妬心半分というところだったかと思います。

 

人事の裏側にあるもの

特に、自分事で納得の行かない人事に当たると、気持ちはすさむものです。

自分を否定された気持ちになるし、人生そのものに大きな影響がありますからね。

 

人事に対して納得がいかない理由はいろいろありますが、一番大きいのは「ちゃんと説明してもらえない」ことに尽きると思います。

 

一方で、左遷や降格などの懲罰的人事は、本人に問題があるケースが多いと思われます。

その問題がどれくらい大ごとなのか、問題発生時、あるいは、(能力不足の場合は)日常的に、正しく伝えられていれば、本人は覚悟しているでしょう。

でも、正しく伝えられていなければ、いくら異動理由として説明したところで、本人は「嵌められた!」と受け取ってしまい、感情的にもめるのです。

 

もちろん、人事異動に際して、どこまで説明責任があるかは会社によって違うでしょう。

でも、少なくとも社員のモチベーションを下げさせないようにすべきであるし、まして、直属の上司が「自分も理由を聞かされていない」と回答するなどありえないと思っていました。

 

ところが、実際に自分自身が組織の人事に携わるようになり、その裏側に接することで、「あぁ、なるほど。そういうことだったのか」と分かってきたことがあるのですね。

 

会社の都合

組織の要員計画においては、その業務に必要な人材スペックが定義されているものです。

ある部門で欠員がでた場合は、そのスペックを条件にスクリーニングがかけられ、複数の候補者が選ばれます。

そこから、部門同士の駆け引きやら何やらと書き出せばきりがないくらいゴチャゴチャがあって、最後の一人に絞られていくのです。

 

また、これ以外にも、以下のようなプロセスもあります。

 

「ご指名による一本釣り」

別組織から優秀な社員を名指しで引き抜くやり方。本社の有力部門が、地方の組織から、有無を言わせずに取り上げるケースなど。

 

「玉突き」

A→B→C→D→Eのように、連鎖している場合。

新入社員、増員・減員、退職などが絡む。

 

「トレード」

同じ仕事を長くA支店でやっているAさんとB支店でやっているBさんを入れ替え、引き続き同じ仕事をさせるケース。三角トレード、四角トレードもある。

 

「バーター」

Aという優秀な社員と抱き合わせでBという出来の悪い社員を出すというケース。この場合、Cという普通の社員とのバーターとなる。

ただ、有力組織の場合は、出来の悪い社員を一方的に押し付けるケースもある。

あまりにも評判が悪い社員は、どこも引き取り手がなく、塩漬けになる。異動は、組織変更などのガラガラポンか、新設される部署に押し込むか、不慣れな人事担当者がだまし討ちにあったとき。

 

「ライン人事」

いわゆるエリートが規定路線として異動・出世していくケース。

 

 

このように人事異動が決まるまでのプロセスはいくつもあるのですが、異動する本人の意向が反映されない場合が多いといえます。

つまり、会社の都合で必要な人事措置を取った結果、たまたま自分にお鉢がまわってきた、ということです。

 

上司がそれを伝えるときに、「たまたま、君に決まったみたいだよ」とは言えないので、もっともらしい理由を伝えるわけですが、受け手の納得性は低くなるのです。

 

社員の育成

これは、比較的若手社員で将来を期待されている人に多いのですが、あえて厳しい仕事をあてがったり、辺鄙な場所にある事業所に異動させて、経験を積ませるのですね。

そこで、ポシャったりくさったりせずに頑張り抜けるかをチェックするのです。場合によっては、新しい風となって組織の活性化や業務の改善を図るかもしれないという期待も持たれています。

 

優秀な人であれば、それなりの実績を出しているはずですし、当然、その自負もあるでしょう。

なので、「なんであんな田舎に飛ばされないといけないのか?」とか、「なんで俺がこんな底辺の部署に行かなければならないのか?」といった不満を持ってしまうものです。

 

ただ、会社としては「勉強のため、今後の成長のため」と伝えはするものの、「そこで2年間頑張れば、次は本社に栄転だぞ」との約束はできません。

本人の結果が伴わない可能性もあれば、そのときの人事状況によっては実現できないかもしれません。すると、空手形になってしまいますから。

 

ということで、これも本人にとって、納得性の低い説明となります。

 

自己評価が高すぎる

客観的にみて、このケースは多いと思います。

一般的に、他者評価は自己評価の七掛けだといわれています。

それくらい、人は自分のことを甘く評価してしまう傾向があるのです(逆に、厳しい自己評価をする人は、それが厳しすぎる嫌いがあります)。

 

「自分はこれくらいやってきたし、これくらい出来ている」と考えているものが、客観的な評価は、3割がた下にあるのです。

だから、「次は当然このポスト」と見積もっていても、端から見れば「何を寝言を言ってるんだ?」となるわけですね。

 

ほとんどの人間が自分をより良く考えてしまうもので、これは「人のサガ」としか言いようがないと思います。

「他人の人事に納得がいかない」というのも、裏を返せば、自己評価が判断材料になっているから、なのでしょう。

 

いずれにしても、自分を正当に評価できていないので、どんな説明でも納得できないとなります。

 

上司がバカ

残念ながら「上司がバカ」というケースも、客観的にみて多いように思います。

 

部下の問題点を放置している

上司が部下の「良いところを褒める」のは素晴らしいことです。

しかし、たいして良くないのに、なんでもかんでもやたらに褒めまくる人がいるのです。

ましてや、出来ていないところを指摘しない、できるようにする手助けをしない、そんな上司がたくさんいます。

 

「褒めて伸ばす」という考え方をはき違えているのかもしれません。

あるいはコンプライアンス云々で唇が寒い時代ですから、真っ当に部下を指導するのに躊躇したり、まして、叱ることが非常にやりにくいのも事実です。

 

それでも、部下の育成にとって必要であれば、言いにくいことも言うべきなのですが、それを放棄している上司が多いと思います。

部下が嫌がることを言わずに、自組織を仲良しクラブに仕立てておけば、上司としては居心地は良いですからね。

 

結果、伸びしろのある部下の成長を止めてしまい、一方で根拠なく「自分はすごい」と勘違いさせてしまうというケースが発生しているのです。

 

部下本人には問題点があるにも関わらず、上司がそれを放置している。

その問題点が仇となり、それ相応の人事が発令される。部下にとっては、当然、納得のいかない人事となる。

上司の不作為が原因と言わざるをえないでしょう。

 

部下の人事に真剣にコミットしていない

上述の仲良しクラブの長がこの手合いであるケースが多いのですが・・・。

各単位組織の長は「部下の異動先を決める権限」を持っていないのが一般的です。

 

つまり、上司が持つ人事権は、部下の仕事の差配と人事考課、そして、CDP(キャリア・ディベロップメント・プログラム=部下のキャリア形成支援)がメインであり、人事異動に関しては、「どこそこに、いつごろ異動させたい」との要望を出すところまでなのです。

 

実際に、異動を決定するのは単位組織を取りまとめる部署であり、会社の規模や制度によっては、さらに上位組織に決定権が留保されていることもあります。

 

というのも、人事は複数の部署が絡む話で、複雑な調整が必要だからなのです。

個々の上司が、好き勝手に動き回ると、収拾がつきませんので。

(もちろん、正式にテーブルに乗せる前に管理職同士で話をつけるケースや、「声のでかい人」が高圧的に介入するケースなんかもありますが)

 

さて、部下のキャリア形成に真剣に取り組んでいる上司は、部下にとってより良い異動先を考え、それが実現できるよう上位組織の人事調整者に必死になって働きかけるものです。

もちろん、その部下は「ふさわしいレベルに達している」ことが前提ですし、そこに至るまで上司は、厳しい指導をしてきているでしょう。

 

ところが、そうでない上司は「どうせ、誰かが決めてくれるから」と逃げをうつのです。そのほうが楽だから。

部下の育成を考えないし、キャリアも考えていない、だから、部下をまともに指導しないし、適当に褒めることはあっても叱ることはしない、そして、部下がどこに異動となろうと知ったこっちゃない、こんな考え方ですね。

 

なので、この上司から異動理由を知らされても、納得できるものではないでしょうね。

こんな人が上司だったら悲劇ですが・・・、結構、多いと思いますよ。

 

いずれにしても、上司がバカだと、人事異動で割を食うのみならず、自分の成長の足かせにもなりかねないのです。

 

ただ、逆にその程度の人であれば、手玉に取りやすいともいえますよね。

基本は良い関係を保ちながら、うまく上司をコントロールし、一方で、さらに上司の上司などで、ちゃんとした人をみつけ、その人と関係を作るように努めればよろしいかと思います。

 

まとめ

順当な人事もあれば、納得のいかない人事もあります。

そして、それは「理由にならない理由」によって決定されることもあります。

 

そのプロセスを「人事の裏側にあるもの」として記しましたが、不可解な人事を理解する一助となれば幸いです。

*もちろん、ここで書いた内容は、全ての会社に当てはまるものではありませんが・・・。

 

機会があれば、自分の体験談や、その際の気持ちの整え方などを、ご紹介したいと思います。

 

それでは、また。

 

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