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ちゃーりーと投資力工場

20代サラリーマンのまったり株式投資記録です

読書記録#4:『賢明なる投資家』

読書記録


こんにちは(^o^)/

今日は「読書記録」より第四冊目の感想です。

今日はこちら。

『賢明なる投資家』,ベンジャミン・グレアム(土光篤洋編),2000,パンローリング社


f:id:ohnum:20160327094220j:plain

 

今日は要約ではなく、気になった部分を抜粋して感想を書くという感じにします。

この本は要約する感じの本ではない気がするので…
それに要約は意外と時間かかってめんどくさいので笑←
いつも感想のほうより要約のほうに時間かかってます(*_*)




目次

 


第1~4章

  -投資と投機 / 投資家とインフレーション
  -株式市場の歴史 / 一般的なポートフォリオ戦略

第5~8章

  -防衛的投資家のための株式選択 / 積極的投資家の分散投資
  -積極的投資家の投資 / 投資家と株式市場の変動

第9~12章

  -投資ファンドへの投資 / 投資家とそのアドバイザー

  -一般投資家のための証券分析 / 一株当たり利益に関して

第13~16章

  -上場四企業の比較 / 防衛的投資家の株式銘柄選択
  -積極的投資家の株式選択 / 転換証券とワラント

第17~20章

  -特別な四社の例 / 八組の企業比較
  -株主と経営陣 / 投資の中心的概念「安全域」

 



参考になった点

 

その1-成長性と価値評価法について

一株当たり純資産に上乗せされたプレミアムが大きいほど、その内在価値を決定するための基準があやふやになる。(p.182)


グレアムさんは、将来の見通しがいい企業ほど、株価とBPSが連動しなくなる(つまりPBRが高くなる)と言います。
成長性が高いと時価が純資産から乖離するので、その分だけ価値の測定が難しくなるということですね。

なるほどーと思ったところでしたが、これは考えてみれば当然のこととツッコまれるかもしれませんね(^_^;)
株式の内在価値の構成をみると、成長性が高くなるほど、今の簿価の資産価値の割合より、将来のキャッシュフローの現在価値の割合が大きくなりますし。
それだけ予想が必要になって価値の測定が難しくなります。


特にわたしが思ったのは、DCFとエコノミックプロフィットの有効性の違いはこのことが原因だったのかもなーということでした。

須田さん・竹原さんの論文では、DCFでは長期で、エコノミックプロフィットでは短期で、それぞれ超過リターンがもたらされると言っていました(*1)。

DCFはより長期的なキャッシュフローと今の株価のギャップを測定するのに優れていて、エコノミックプロフィットはどちらかというと目下の業績と今の株価のギャップを見極めるのに優れているというわけです。
DCFはグロース株を、エコノミックプロフィットはバリュー株を探すのに適しているとも言えるかと思います。

で、これがなんでなのかと考えていたんですが、それは成長企業とDCFは両方とも将来の要素が大きくて親和性があるからなんだなーと…
遅まきながらグレアムさんの文を見て思ったわけです(-_-;)

DCFは将来のキャッシュフローと割引率が構成要素です。
一方、エコノミックプロフィットは、この要素に加えて、現在の自己資産の簿価が式に入ってきます。
なので、DCFでは将来の要素が、エコノミックプロフィットでは今の要素が、それぞれ比較的に大きいです。

そのため、将来の要素がかなり大きく簿価資産との乖離がある成長銘柄においては、DCFのほうが適しているということなのかもしれません。


んー難しいですね(*_*)
正直言いますと、わたしは企業価値評価の勉強をまだはじめたばかりなので、これからいろいろ調べていきたいです。

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その2-経営者と株価について

 

優れた経営者は望ましい平均市場価格を作り出し、無能な経営者は好ましくない株価を招くのである。 (p.194)

 
これは文字通りで、優れた経営者であれば株価も適正な水準に保つだろうということを言っています。
株価は経営者の成績表でもあるので、無視して低い水準で放置などはしないだろうと。

この観点はわたしの持論の「企業分析で経営者の視点はほぼ不要」を強く補強してくれるかなーと思いました。
(詳細は以前の記事より)

というのも、グレアムの言うとおり、優れた経営者なら望ましい市場価格をつくるのであれば、経営者の能力はすでに株価に反映されているものと考えられるからです。

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その他



予想以上に書いてしまったのでその他は引用だけで…

予想が現実化したりそれ以上や以下となった場合、株価がそれに沿った形で推移するなどという誤った考えを持ったりしてはならない。(p.261)

 

現在の株価は既知の事実と将来の期待を反映している(p.314)

 

 



疑問点



ファンドが市場平均を上回ることができないという事実こそが、それを達成するのが容易いどころか極めて困難であるということの決定的証拠といえるのである。(p,320)

 

最後に疑問点です。

ファンド全体を市場平均と比較することで市場平均を達成するのが難しいと言うのはダメかとわたしは感じます。
個別にファンドのリターンを追って、リターンの分布図を作ることが必要な気がします。
そのうえで、分布が運の結果といえるのかどうか、ですねー。

これは前回の読書記事の「読書記録#3:『ウォール街のランダム・ウォーカー』」でも書いたこととつながるかと思います。



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要約を省いて簡単に書くつもりが、思いのほか長くなってしまいました…
この本は自分のなかでもまだ消化しきれていないところがあるので、時間があるときにちょくちょく読み直していきたいです。

ではでは(^^)/




<参考>
1.須田幸一・竹原均、「フリーキャッシュフローモデルと残余利益モデルの比較:株価説明力と超過リターンの獲得」,

http://infoshako.sk.tsukuba.ac.jp/~databank/thesis/2003/a2003takehara.pdf、2016/3/27閲覧