一つ前の記事の続きです。
非金融法人企業と一般政府の資金過不足はほぼ逆向きの推移をしています。政府部門が、企業活動が過熱した時にはブレーキ役、逆に冷え込んだ時には景気の下支えの役割を果たしてきたことになります。
2014年からの企業の資金余剰縮小に合わせて政府は資金不足の縮小に動いています。しかし、2015年から企業が再び資金余剰拡大に転じたために、企業と政府が揃って景気に引き締め効果を及ぼすことになっています。
アメリカの1937年の失敗に似ているようです。
What I said in Tokyo: https://t.co/5WgageyKOH
— Paul Krugman (@paulkrugman) 2016年3月26日
Aftermath (no, I don't enjoy this sort of thing): pic.twitter.com/MfV1HHxCTS
In fact, the story in the 1930’s was that the New Deal, Roosevelt backed off the fiscal stimulus in 1937, because then, as now, there were many calls for balancing the budget. That was a terrible mistake. It caused the major second recession.
このまま消費税率を10%に引き上げれば、"terrible mistake"になりそうです。
ちなみに、クルーグマンは1998年に自分が言い出したリフレ(managed inflation)策の有効性*1を完全否定しています(→教祖がリフレ派から脱会)。
We are seeing the limits of monetary policy. […] The effects are proving to be limited.
First, fiscal stimulus is very important as an aid to monetary policy in breaking out of deflation. We have seen that it is difficult to do it with money alone.
グラフを見たところでは、マネタリーベースがGDPと連動している期間が、公共投資がGDPと連動している期間よりも長い。このことが、厳密な実証分析によって、金融政策は効果があるが、財政政策の効果は小さいという結論になる理由であろう。
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アメリカが大恐慌から抜け出しはじめたのは、世界戦争にそなえるべく、政府の支出がうなぎ上りになってからだった。わたしたちは単純明快な真実を把握する必要がある。回復をもたらしたのは政府の財政出動だ。金融政策の修正でもなく、銀行制度の復活でもなく、ケインズ主義的な景気刺激策なのだ。
スティグリッツ&クルーグマンとリフレ派日銀審議委員のどちらを信用すればよいのでしょうか。
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