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■スコアの余白

 へっくしょん。

 25日のプロ野球開幕戦。試合前に巨人の長野が目を赤くして、鼻をぐずぐずさせていた。「花粉症がひどいよ。試合に出られないかも」。冗談半分に、でも、つらそうな表情を浮かべながら素振りをしていた。

 この時期、花粉症はやっかいだ。マスクをして球場に入ったり、目薬をさしたりしながら試合に臨む選手も少なくない。曇り空でもサングラスをかけてプレーする選手もいるほどだ。

 花粉症が原因かは不明だが、長野はこれまで春先の成績が振るわなかった。昨季は3、4月の打率が1割9分2厘で本塁打は0本。3割近い打率を残した一昨年も3、4月は2割8分4厘と低調だった。

 「最終的に結果を残せてチームが優勝できればいい。シーズンは長いから」。マイペースでじっくり調整している姿を見ていると、今季も夏場に向けて徐々に状態を上げていくものだと思っていた。

 ところが、始まってみればエンジン全開だった。開幕戦で1番打者を任されると、2打席目に先制の本塁打。2戦目も2ランを打ち込んだ。「振ったら当たった。ほんと、たまたま」と謙遜するが、選手会長に就任した31歳の今季にかける思いが伝わってくる。

 ただ、人前で話すことが苦手で目立つことを嫌う性格だ。開幕3連勝の立役者は、こっそりと球場を後にした。「俺なんか、何も話すことないよ」。やはり、鼻声で。(山口裕起)

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