プロ野球DeNAは今シーズンから本拠地・横浜スタジアム(横浜市)で外野の無料開放を始める。安全上の理由からボール遊びを禁止している公園が少なくないため、思い切りキャッチボールを楽しんでもらおうという取り組み。地域住民を巻き込んだ公園のルール作りも各地で始まっている。
「よーし、ナイスボール」。DeNAはナイター開催日の午前7~8時半に外野を無料開放し、グローブとボールも貸し出す取り組みを29日に開始。3月中旬にあったプレイベントでは、雨がぱらつく中で親子約250人が威勢のいい声を響かせながらキャッチボールを楽しんだ。
小学2年の息子(8)と訪れた横浜市神奈川区、会社員小山貴弘さん(44)は「近所の公園でできないのでいつもは家の前の道路。気兼ねなく投げられる場は貴重」と満足げ。父親(50)と来た同市保土ケ谷区、小学3年百瀬友貴君(9)は「広くて人工芝もふかふか」とうれしそうに話す。
一般社団法人日本公園緑地協会(東京)が2003年、東京23区と全国の政令市を対象にした調査で、公園でのキャッチボールを全面禁止している公園があると回答した自治体は52%に上った。利用者の安全確保や近隣住民からの苦情が主な理由だった。
一方、東京都千代田区は区民からの要望を受け、13年から利用時間を区切ったり監視員を配置したりすることで、一部の公園でボール遊びができるようにした。千葉県船橋市も今年9月、同様の取り組みを試行する。
東京都市大の涌井史郎教授(造園学)は「ここ10年ほどで、単に禁止にすればいいという流れではなくなりつつある。自治体が地域のニーズを受け止め、住民が自主的に利用方法を考える仕組みづくりが必要」と語る。
国土交通省公園緑地・景観課は「公園ごとのルールを住民と一緒に作っていく自治体を後押しする方策を検討していきたい」としている。(共同)