文筆家・大野左紀子
2016年3月28日10時24分
■松坂屋美術館「誕生60周年記念 ミッフィー展」
東日本大震災の折り、「被災した日本の子どもたちにメッセージを」との要請で描かれたディック・ブルーナの絵をよく覚えている。「my best wishes to Japan」と書かれた上に、両目から大粒の涙を流すミッフィー。色はない。日常を根こそぎ奪われた子どもたちを励ますのではなく、悲しみに寄り添おうとする画家の優しさが伝わってきた。
1950~60年代生まれの人なら「うさこちゃん」の名で記憶している、世界一有名な兎(うさぎ)の女の子ミッフィー(オランダ名はナインチェ)。開催中の「誕生60周年記念 ミッフィー展」には、55年に初めて出版された『ちいさなうさこちゃん』の原画を始め、ミッフィー以前の初期絵本、油彩画やスケッチなど約300点が展示されている。
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