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少子化に伴う人口減少と高齢化、財政難に直面するなかで、住民に不可欠な行…
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少子化に伴う人口減少と高齢化、財政難に直面するなかで、住民に不可欠な行政サービスをどう保ち、さらに地域の活性化を図っていくか。
近くの市町村が共通の事業で協力することは、有力な解の一つだ。既にゴミ処理や消防で一部事務組合が、医療や介護の分野では広域連合が定着しているが、14年の改正地方自治法施行で導入された「連携協約」による協力が各地で動き始めた。
人口がおおむね20万人以上の市が「連携中枢都市(旧地方中枢拠点都市)」を宣言する。そこが周辺の市町村と連携協約を結び、都市圏として共通のビジョンを掲げ、事業を進めていく。自治体間のより機動的な協力を促すのが狙いだ。
兵庫県姫路市は、国にこの制度を働きかけた自治体の一つだ。同市と7市8町が参加する「播磨圏域都市圏」は昨春、ビジョンを公表した。バス路線網の維持や高度な救急医療の確保、災害対策など日常生活にかかわる課題から、創業支援、地場産品を生かした「播磨」ブランドの確立、広域観光まで、さまざまな事業が並ぶ。
今月初めまでに全国15の市が連携中枢都市を宣言し、姫路のほか倉敷、福山、宮崎、久留米の各都市圏がビジョンを公表済みだ。どのような課題を抱え、どう打開しようとしているか、参考になるだろう。
連携協約への道を開いた政府の地方制度調査会は今月、首相に出した答申で、制度の幅を広げるよう提言した。人口が20万人に満たなくても複数の市が中心となる「複眼型」や、特定の市に頼らずお互いに助け合う広域連携を例示している。形は多様であっていい。政府は制度の拡充を急いでほしい。
もっとも、地域の活性化を目指す事業なら、制度を待たずとも地元の企業や金融機関、NPO、大学などを巻き込んで始められるはずだ。
すでに多くの取り組みがある。海外市場をにらんだナマコやウニの地域ブランド化(北海道神恵内村など3町村)、文化団体や商工会を巻き込んでの文化観光振興(新潟県長岡市など12市町村)、子育て世代の女性を創業指南や託児サービスで支援する事業(熊本県合志市など3市町)……。政府は地方創生加速化交付金の交付先を決めたが、総額900億円余の4分の1はこれらの共同事業向けだ。
自治体が事業に挑み、浮き彫りになった課題を国に伝え、対応策を求める。国は制度や予算を通じて自治体を後押しする。そんな循環を作りたい。
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