【巨人】ギャレット3タテ弾!8回逆転1号、由伸監督「最高」
◆巨人3―2ヤクルト(27日・東京ドーム)
由伸巨人が助っ人の起死回生の一撃で、昨季セ王者のヤクルトに3タテを食らわせ、単独首位に立った。1点を追う8回無死一塁、4番・ギャレットが右越えに来日1号の逆転2ラン。由伸監督は、巨人の新人監督では1981年の藤田元司氏以来、35年ぶりの開幕3連勝。また、チームの開幕3戦3勝も1998年以来18年ぶりとなり、最高のスタートダッシュに成功した。
耳をつんざく大歓声に一瞬、大リーガーに戻っていた。オレンジ色に染まったスタンド。ギャレットは、大興奮でダイヤモンドを一周した。「メジャーのプレーオフの大事な試合の中で打ったような、すごい歓声だった」。ベンチに戻ると長野に促されジャビット人形をぎこちなく客席に投げ入れた。メジャー通算122発の助っ人もこのときばかりは“新人”に戻っていた。
由伸巨人に開幕3連勝をもたらす、超特大弾だった。1点を追う8回無死一塁。秋吉の甘いストレートを豪快にすくい上げ、打球を右翼席上段に突き刺した。「1号が直接、勝利に結びつく一発でうれしいよ」。値千金の逆転2ランは、3試合12打席目の来日初アーチだ。初打点が決勝点となった4番に、由伸監督は「本当にここって時に一発を打ってくれるというのはいいね」と表情を崩した。
初めてお立ち台に上がったギャレットは、スタンドで観戦したキャシー夫人(25)と長男・ジャクソン君(4)を見つけ、25日の開幕戦の朝を思い出していた。キッチンからするいいにおいに誘われ、目が覚めた。16日に来日した愛妻が作る、イングリッシュマフィンの香りだった。半熟卵とベーコンをパンで挟んだ大好物。さらにシリアル、リンゴ、イチゴ…。「奥さんが作ってくれた。ヘルシーでいいんだよ」。テーブルを埋める手料理を口にすると、肩の力がふと抜ける気がした。
来日1年目の助っ人では球団初となる開幕4番。来日初安打を放った前日26日の夜、ホッとするのもつかの間、愛息から「あのヒーローの時にもらえるマスコット人形が欲しいよ」とおねだりされた。キャシー夫人からは「あれをもらうにはホームランを打たなきゃいけないわよ」と尻をたたかれ「約束するよ」と即答。“予告アーチ”を実現させ「妻は自分の時間を犠牲にしてまで尽くしてくれている」と家族に感謝した。
チームの開幕3戦3勝は18年ぶり。指揮官は「日本の野球に慣れようとか、向上心を持って何とか結果を出そうという努力、研究をすごくしてくれている」と日頃の練習への取り組みを評価。G砲は「結果を求め、長打を狙いすぎてオーバースイングになっていた」と自己分析し、コンパクトなスイングに修正していた。
ホームランボールは、メジャーで打った記念球などのコレクションに加える。「素晴らしいチームで素晴らしい1年間を送りたい」。一新を掲げる由伸ジャイアンツの新4番が、豪快にスタートを切った。(中村 大悟)