SF小説の構造は単純だ。まず荒唐無稽な仮説を一つ真ん中に置く。小説なのだから、「何でもあり」だ。たとえば人間の百分の1の大きさしかないが、人間以上の知性を持った生物が地球上に存在すると仮定する。そこからいろいろなことを論理的に組み立てていって、独自の世界観を構築していく。
これがSF小説のお作法だが、マーケティングにおいて、理想の顧客像であるペルソナをまず決めて、このペルソナを対象としたストーリーや世界観を作り上げていくのに似ているとは思わないだろうか。想像力を働かせて、自由奔放に、しかし(ここがとても大切なのだが)極めて演繹的・論理的にストーリーを展開するのだ。
こうした展開を妨げるものは、やはり常識だ。「しかし、そんなことあり得ないよな」と言った評価が芽生えてしまった途端に、そこまで構築してきた世界観はすべて崩れてしまう。SFの場合はもともと前提が荒唐無稽なのだから、そこに常識の尺度を入れてしまえば、当然、無理が通らなくなる。
だから、SF小説を読む場合は、そうした疑問を挟まず、小説の世界観に身を委ねて読んでいくのが作法だ。
ただし、その世界観において、論理矛盾があるのは許されない。そんな疑問を感じたときに、「これはおかしい。自分だったらこうする。こうでなければ変だ」と思いながら読んでいくのが、一番簡単に創造的思考を鍛える方法だと思っている。SF作家は数多存在するが、元科学者であったSF作家の小説は、この点非常に役に立つと思う。
たとえば、ジュラシック・パークで有名なマイケル・クライトンは医学博士だ。彼の出世作の『アンドロメダ病原体』は非常におもしろい。また邦人作家では通信工学者で元大学教授の石原藤夫や詳細な調査を基に江戸時代を舞台とした一連のシリーズを書いた石川英輔などは一読されることをお勧めする。
成功した人は、自分に厳しく、
日々の鍛錬を怠らない
創造的思考を鍛えたら、今度はその結果をアウトプットし、使っていかなければ、本当には身につかない。
そうした意味で私がすごいと思ったのは、坂本孝氏。ブックオフコーポレーションの創業者で、その後、俺の株式会社を創って成功した実業家だ。
ベンチャー企業の経営者として、その発想がすばらしいわけだが、彼は、毎日毎日、10個ずつ、新しいビジネスを考えることを日課にしていると私に語ったことがある。それを自分に義務付けているのだそうだ。
一念発起して私もやってみたことがある。ところが、これが本当に難しい。3つくらいは何とか思い浮かぶのだが、10は到底無理だった。また、前の日と同じことを考えてはいけないというルールがあるので、たった3つ4つのアイデアでさえ、3日と続かなかった。しかし、坂本氏はそれをずっと続けている。
その結果が、それまで誰も考えたことのないようなビジネスモデルを具現化する起業だ。成功の陰に隠れて、いくつかの失敗も彼は経験している。
ビジネスで創造性を発揮する人は、常に、いくつになっても、自分を厳しく鍛え、毎日、アウトプットしている。日々の鍛錬とアウトプットの継続こそが、成功の母なのだと思う。