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40代からの人生の折り返し方 野田稔

10年後、約半分の仕事が消えても
生き残れる人はどんな能力を持っているか

野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]
【第26回】 2016年3月28日
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 優秀な学生やビジネスパーソンは、課題を解決する高い能力を持った人は少なくないのだが、そうした優秀な人の多くも、課題そのものを発見する能力に長けていない。

 まず、問題発見力を鍛えることから始めてはいかがだろうか。

 社会人材学舎でよく行う、こんな方法もある。「不」の写真を撮るという訓練だ。普段から問題意識を持つためのトレーニング方法で、日ごろ、おかしいと思うことをそのままにしておかないで、写真に撮って記録し、おかしなもの、おかしなことを人になぜおかしいかを言語化して説明する。

 おかしいと思うということは、不満、不安を感じる事象だ。その多くは不公平、不平等、不条理といった感覚から生まれる。不満、不安は義憤を産む母だ。だから「不」の写真を撮る。自分が「不」と思う事象を記録する。

 何となくぼんやりと見ているだけで、放っておく、やり過ごすから課題を発見することができない。一つひとつのそうした事象に立ち止まって、「あれ、何かおかしいな」と思い、それを記録し、言語化する。これをやり続けることで、課題発見力が養われる。

 もちろん、問題が明確化され、さあ解決に向けて出発だ、と思ってもことはそう簡単に運ばない。問題を解決するためには数多くの難題を解決しなくてはならないのが通例だ。ここで発揮されるのが創造的思考ということになる。

 難題を克服するためにはイノベーションが必要だ。イノベーションはある日突然生まれるものではない。何が何でも解決しなくてはならない問題に直面した時にそれは生まれる。

 とは言え、難題に直面すれば誰でもイノベーティブな解決策が閃くわけではない。そこにはいわゆる“創造的思考の技術”も必要になってくる。

 たとえば、創造的思考になくてはならないものの一つに、「広く、高く、柔軟な視点の獲得」がある。このような視点を獲得するためには、それなりの訓練が必要だ。

 普段私たちは、注意深く周囲のものに気を配りながら生きている。いわば、半径10センチに細心の注意を払っている蟻のような視点の持ち方で、細部に目をこらす蟻の視点は実用的で安全で、意味のあるものの見方だ。

 しかし、創造的思考にはむしろ鳥の目、つまり三次元的な視野が必要になる。隣接分野だけなく、飛び地をも眺めて、今の場所とのつながりを見極める力だ。

創造的思考技法を養うための
参考図書は?

 課題を発見したら、今度はその問題を何が何でも解く、という強い意志を持つ。

 何事にも制約条件がある。だから、これまでその課題は課題のままだったのだ。この制約条件を打ち破って課題を解決するためには、どうしても新しいアイデアが必要になる。

 多くの場合、「新しいアイデア」が初めにあるわけではない。そうしたものが、空から舞い降りてくるわけではない。何が何でも突破しなければいけないと思ったときに、人は真剣になる。そこで考え抜いて、初めて解決策がひらめくのだ。

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野田 稔 [一般社団法人 社会人材学舎 代表理事]

明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授/株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所 特任研究顧問。野村総合研究所、リクルート社新規事業担当フェロー、多摩大学教授を経て現職に至る。日本テレビ系列「ズームインスーパー」、NHK総合「経済ワイドビジョンe」「Bizスポワイド」、NHKEテレ「仕事学のすすめ」などメディアでも活躍。主な著書に『組織論再入門』『中堅崩壊』(以上ダイヤモンド社)、『二流を超一流に変える「心」の燃やし方』(フォレスト出版)『企業危機の法則』(角川書店)など多数。


40代からの人生の折り返し方 野田稔

40代は時計で言えば、ちょうど昼の12時を回った人生の午前中が終わったばかりだ。人生折り返し、1日に例えれば、午後をいかに過ごすか。黄昏が訪れる前に上手に人生を折り返す方法をこの連載では考える。

「40代からの人生の折り返し方 野田稔」

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