こんにちは。@ryuzeeです。
いろいろな現場を支援させて頂いている中でもっともよく頂く質問の1つに、デイリースクラムに関するものがあります。たとえば、「時間どおりに終わらない」「単にみんなが報告するだけで、これならメールでいいんじゃないか」とか「いつも、困っていることは特にない、とみんなが言う」とかです。
そこで、デイリースクラムの運用の仕方を改めて整理しておくことにします。
なぜデイリースクラムが必要なのか
- 「プロセスで決められているから」というだけの理解ではいけない。これは全てのイベントに共通する
- 毎日の検査と適応(高速なフィードバックサイクル)をすることで問題を早期に発見する
- ムダな待ち時間を排除する
- 自分たちがスプリントゴールとしてコミットしたことに対して全力を尽くす
タイムボックス
- タイムボックスは厳密に15分を守る。超えてはいけない
- 早めに終わること自体は構わないが、その場合はチームとして問題がないと言い切れるかどうかを自問する
- 必ずしも朝やらないといけない訳ではない。全員が参加できる妥当な時間帯にすること
- 常に時間通りに始める。日によって時間や場所を変えない
- 遅刻した人がいても待たない
- みんなにデイリースクラムの開催について絶対はっきり伝えること。たとえばデイリースクラムの時間や場所を貼りだす。その他のミーティングでもそうして良い
- チームの中にはスプリントカレンダーを掲示しているところもある
- チャットのボットなどを使って開始前に自動でアナウンスするのも良くある手
事前準備
- 前回のデイリースクラムから変わった点についてしゃべれるように準備しておくこと。チームにとって価値がある共有すべき情報は何なのか?について考えること
- 終わったタスクも大事だが、自分が解決した妨害や今もっている問題点はチームにとってさらに重要なのでそれを説明する。また自分がスプリントゴールを守れると感じるかどうかも伝える
- デイリースクラムの前にタスクのステータスと残り時間を更新すること。これによってチームがどんな状況にあるかに関する最新のスナップショットを持っていることを保証する。デイリースクラム中に、ボードの更新に時間を使うべきではない
- スクラムマスターはプロジェクトを妨害していることの一覧を用意して更新しておくこと。これには前日までのデイリースクラムで出た話も含まれる
- デイリースクラムの3つの質問を見える場所に貼っておくと良い。みんながそれを意識するようになる
- 3つの質問はあくまでフォーマットなので自分たちで拡張してよい
ファシリテーション・進行
- スクラムマスターはファシリテーションに集中する。管理ではないし、やるべきことを命令するわけでもない
- チームメンバー全員が話すこと
- 場を安全に保つこと。悪いニュースをためらわずに言えるようにしないと単なる儀式になる
- デイリースクラムで問題解決をしないこと。進捗や問題を明らかにすることに専念すること。より細かい話は終了後などに必要な人で続きをすればよい
- スクラムマスターは関係なさそうな話になったり深入りしすぎた話になったりしたら話を止めること
- チームメンバー自身がお互いに突っ込んで止めさせるのも良い。例えば2人挙手ルールを使っているチームもある
- プロダクトオーナーや管理者等がデイリースクラムに口出ししてきたら止めること
- 出席できないメンバーがいる場合は、居るメンバーが代わりをする。代わりをするメンバーはチームに対して欠席しているメンバーの状況を伝えること(事前準備すること)
- あまりに欠席が多い場合は妨害事項なので理由を確認して解決すること
- デイリースクラム中は集中すること。携帯をいじくったりしない
- みんながスクラムマスターに向かって報告してくるようならチームの会議であることを何度でも意識付ける(スクラムマスターが立つ場所も注意)
- うまくできるようになってきたら、ファシリテーターは日替わりでメンバーがやってもよい
見える化を進めるために
- 仕掛り中の仕事を少なく保つこと。本当に進行中の作業のみを仕掛り中とすること(じゃないと昨日も今日も同じタスクしている、という発言がでてくる)
- 進捗を明らかにするために大きいタスクは分割すること。タスクが大きい見積もり時間を持っていると進捗を把握することが難しい(これも昨日も今日も同じタスクをしている、という話になりがち)
その他
- 他のメンバーとの会話をデイリースクラム待たないといけないわけではないので、困ったことがあれば随時あげてよい
- チームのサイズが大きすぎるとその分デイリースクラムでの1人あたりの時間が短くなる。本当にそのサイズが適当なのかをもう一度考える
繰り返し言っておきますが、デイリースクラムをやることに意味があるのではなく、そこから得られるものに意味があるので、それを忘れないよう。
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