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震災5年 爪痕なお深く…群馬に重い課題

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震災5年 爪痕なお深く…群馬に重い課題

 東日本大震災から11日で5年が経過し、県内でも各地で追悼行事が行われた。県内には今も1189人(2月末時点)の避難者が暮らし、生活再建を模索している。東京電力福島第1原発事故の影響は、指定廃棄物の処分をめぐる問題や中国、韓国、台湾などの県産食品禁輸措置など、5年が経過しても解決に至っていない課題をもたらし、震災の爪痕はいまなお深く残っている。(大橋拓史)

 ◆指定廃棄物 

 放射性物質を含む指定廃棄物は現在、前橋、高崎、桐生、渋川、富岡、安中、榛東の7市村で計約1187トン保管されている。

 指定廃棄物をめぐっては、国は県内に最終処分場を建設し、1カ所に集約する方針を示していたが、自治体から異論が相次ぎ、平成25年7月以降、議論は停滞していた。

 環境省は指定廃棄物を抱える自治体の意見をふまえ、指定廃棄物の指定解除に関する仕組みの整備に着手し、基準値の1キログラム当たり8千ベクレルを下回ったものについては、指定解除を行った上で、通常の方法で処理できるよう省令改正を進めている。

 11日には県庁で環境省主催の会合が開かれ、県と7市村の担当職員が出席。環境省は指定解除の仕組みについて説明し、出席者からの質問に応じた。

 県廃棄物・リサイクル課によると、「指定廃棄物の放射性物質濃度をどのように測定するのか」といった質問や、「指定解除後の処理まで国には関与してほしい」といった意見が出されたという。

 国の推計では、38年には8千ベクレルを超える指定廃棄物は県内で269トンまで減少するとされているが、指定解除後の廃棄物の処分先をめぐっては、難航することも予想される。

 ◆県産食品の禁輸 

 原発事故後、放射能の影響を懸念し、県産食品に輸入規制をかける国が相次いだ。カナダやメキシコなど規制を解除した国もあるが、中国、韓国、香港、台湾、マカオの5つの国・地域は輸入規制を継続しており、県産食品輸出の障害になっている。

 県農政部によると、規制対象を全部としている中国を除き、他の4つの国・地域の規制対象はバラバラで、「規制の根拠は不明」だという。

 大沢正明知事は知事会などを通じて、政府に輸入規制の早期解除に向けた取り組みを強化するよう要望してきたほか、台湾では輸入規制の早期解除を直接訴えてきたが、規制の解除には至っていない。