政府、自動ブレーキ義務化を検討
政府が今後5年間の交通安全基本計画を検討しているとNHKが報じている。ちなみに大阪・梅田で発生した痛ましい事故のタイプは、高齢化社会を迎え今後増加していく可能性大。警察庁発表の数字を見ると平成26年に意識障害などで発生した事故を207件としているが、実際はさらに多いという(居眠り運転として処理されるケースが多い)。こういった事故を防ごうとするなら自動ブレーキを義務化するしかない。
ただ疾病により暴走する事故を防ごうとすると現状の自動ブレーキでは難しい。自動ブレーキのセンサーも100%正確と言えず、過剰反応して高速道路でブレーキを掛けたような場合、追突されてしまう。そこでドライバーがアクセルを踏み込めば解除出来るようになっているのだ。今回の暴走事故のように意識を無くした後、アクセルを全開にしてしまうと自動ブレーキは解除されるということ。
もう一つ。自動ブレーキと言っても、様々なタイプが存在する。光を使ったセンサー(レーザー)や電波を使うセンサー(レーダー)は、歩行者を検知出来ない(光も電波もハネ返さないため)。夜間の歩行者まで検知しようとしたら、暗い場所でも稼働する高性能カメラでないと難しい。実際、現時点で昼と夜に歩行者を検知出来る性能を持つ自動ブレーキはスバルのアイサイトのみ。
また、梅田のような事故を防ぐためには、居眠り運転防止のため大型トラックで実用化されている「運転者を観察しているカメラ」を付け足す必要もある。この手のカメラを加えれば、歩行者に向かっているときにアクセル全開した際、前を見ていなければ躊躇せず自動ブレーキを掛けられる。逆に前を見ていれば自動ブレーキの誤検知だと判断し、アクセルを優先させれば良い。運転者を見るカメラ、1万円程度で付く。
先日スバルが事故データを発表した通り、高い性能持つ自動ブレーキを装備することにより追突や歩行者との事故の80%以上を防止出来る。任意保険料の割引と組み合わせることにより、疾病にまで対応出来る自動ブレーキの義務化も余計なコストを支払うこと無く実現出来るだろう。したがって政府さえキッチリと方針を打ち出せば、数年後には高性能自動ブレーキの義務化は可能だと思う。
ちなみに国交省はなぜか自動ブレーキを嫌っている。なにしろ2009年まで自動車メーカーが自動ブレーキを装備することすら禁止していた。いや、現在でも自動車メーカーが「赤信号を検知して車両の速度を落とす」という制御を申請しても「絶対ダメ!」と認めない。自動ブレーキを推進させようとしている政府と国交省の思惑は全く違う。国交省に考え直してもらいたいと強く思う。
高い性能を持つ自動ブレーキの開発は国際競争力を高めるためにも必要。自動車業界は自動ブレーキの義務化を喜んで受け入れることだろう。