VRヘッドマウントディスプレイ“Oculus Rift”ローンチタイトル30作の価格が判明。プレイリポートも10本以上まとめて一挙公開【GDC 2016】

今月末より販売を開始する、PC用ヘッドマウントディスプレイ“Oculus Rift”。海外プレスイベントで対応タイトルをガツッと遊んできた。

●ローンチでは30タイトルがリリース予定

 現在アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコで開催中の、ゲーム開発者向けの国際カンファレンスGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)。ゲーム開発に関する最新情報を目当てに各国のゲームメディアが集まるため、会期中はGDC会場の内外でプレスイベントも頻繁に開催される。

 PC用VRヘッドマウントディスプレイのOculus Riftを開発するOculus VRもそんなメーカーのひとつ。Riftの発売開始を3月28日に控え(※現在予約受付中で、順次出荷予定)、ローンチタイトルを中心に一日かけて対応タイトルを10本以上一気に体験できるプレスイベントを行った。


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▲冒頭で挨拶を行った、Oculus VR創始者のパルマー・ラッキー氏。ハイエンドな消費者向けVRの実現を目指してRiftを考案し、現在のVRブームを牽引してきた立役者のひとりだ。

 Riftのローンチでは、レースゲーム『Project Cars』のように非VRゲームとしてリリースされてているゲームのVR対応版や、Oculus VRとサムスンが共同開発したモバイル系VRヘッドマウントディスプレイのGear VR向けに発売されているタイトルのRift版なども含めて、30タイトルがリストアップされている。


 3月28日よりリリースされるOculus Riftのローンチタイトルのリストと価格は以下。全般的に価格帯は、Gear VRなどですでにリリースされているタイトルのRift版は10ドル前後のものが多く、最初からRift向けにターゲットを絞ってきているタイトルは約20ドル以上の値付けになっている印象だ。

ADR1FT 19ドル99セント
Adventure Time: Magic Man's Head Games 4ドル99セント
AirMech: Command 39ドル99セント
Albino Lullaby 9ドル99セント
Audio Arena 9ドル99セント
Project Cars 49ドル99セント
Chronos 49ドル99セント
Darknet 9ドル99セント
Dead Secret 14ドル99セント
Defense Grid 2 Enchanced VR Edition 29ドル99セント
Dreadhalls 9ドル99セント
Elite Dnagerous: Deluxe Edition 59ドル99セント
Esper 2 9ドル99セント
EVE Valkyrie Founder's Pack 59ドル99セント
(※Oculus Riftの予約者は特典として無料でダウンロード可能)
Fly to KUMA 14ドル99セント
EVE Gunjack 9ドル99セント
Herobound SC 9ドル99セント
Keep Talking and Nobody Explodes 14ドル99セント
Lucky's Tale 無料(※バンドルタイトル)
Omega Agent 14ドル99セント
Radial G 24ドル99セント
Rooms 14ドル99セント
Shufflepuck Cantina Deluxe VR 9ドル99セント
Smashing the Battle 19ドル99セント
Vanishing of Ethan Carter 価格未定
Vektron Revenge 9ドル99セント
VR Tennis Online 24ドル99セント
Pinball FX2 VR 14ドル99セント
BlazeRush 価格未定
Windlands 19ドル99セント



●バンドル&予約特典は鉄板の2タイトル

 それではローンチで多くの人が遊ぶだろう、予約特典と公式バンドルタイトルをご紹介しよう。まずは早くからVR専用ゲームとして発表され、開発が続けられてきた『EVE: Valkyrie』。宇宙戦闘機に乗ってドッグファイトを繰り広げるスペースフライトシューティングゲームで、オンライン経由で最大8対8のマルチプレイ対戦が可能。
 Riftの早期予約特典になっているものの、単体購入する場合は60ドル級の大作だけに、グラフィックがとにかくゴージャス。両軍の巨大な母船を背景に、宇宙港などの構造物を縫うように飛ぶと絶妙に気持ちいい。

 本作以外にも『Elite Dangerous』のようなスペースフライトシムや、後述する『Eagle Flight』のような一種のフライトシューティング、あるいは『Project Cars』のようなレースゲームなど、フライト系・コックピット系のゲームがいくつかあるのだが、VRでこの手のタイトルがいい感じなのは、進行方向とパイロットとして注視したい方向をそれぞれ独立して操作できること。
 つまり「コントローラーで旋回しながら視界はさらに先を見る」とか、「正面に飛びながら一瞬だけ視界を左右に振って状況確認する」といった動作が、複雑な操作なしに、見たい方に自分の顔を向けるだけで直感的に実現できるのだ(『Eve: Valkyrie』ではミサイルのロックオンなどにも使う)。

 なお本作では経験値ブーストアイテムや宇宙戦闘機の外見を変えるスキンアイテムなど、少額の課金要素がある模様。一方でマップや機体などゲームプレイに影響するコンテンツアップデートについては無料で提供していくとしている。


 そしてもうひとつ、公式のバンドルタイトルとなっているのがアクションゲーム『Lucky's Tale』。三人称視点のアクションゲームで、主人公のキツネ“ラッキー”が、タコ足のクリーチャーに連れ去られてしまった相棒のブタ“ピギー”を救出するために後を追うという内容。

 VRにおける“マリオ”や“ソニック”、あるいは“バンジョーとカズーイ”なんかを目指したのだろう丁寧な作りで、オーソドックスな面クリアー型の3Dプラットフォームアクションとしてしっかり仕上がっているので、カジュアルな見た目のオマケと誤解してナメてかかると驚かされるだろう。
 三人称視点のVRを採用しているのもゲームスタイルにハマっていて、動画で見ると割りと普通に見えるのだが、プレイ中はステージが目の前のミニチュアのように見えていて、そこを自分が操作するラッキーが駆け抜けていく様子は、ぬいぐるみに命が吹きこまれて活き活きと動き出したのを見ているかのよう。バンドルにふさわしい、幅広い層がしっかり楽しめるゲームだ。


●ガッツリ遊べるボリュームたっぷりなコアゲーム3タイトル

 お次は数時間ガッツリと遊べるタイトル群。まずは宇宙を舞台にしたアドベンチャーゲーム『Adr1ft』。今年1月にもプレイリポートをお届けしたタイトルだが、改めて説明しておくと、宇宙ステーションが何らかの原因により大破してしまい、絶望的な状況下で生還に向けてサバイバルするというお話。

 価格は20ドル弱とお手頃な感じなのだが、実は本作、3月28日に非VR版もリリース予定で、VR抜きでもインディーゲームとしてきっちり勝負できるボリュームがあるし、地球を眼下にステーションの破片がキラキラと輝きながら散らばる宇宙空間が美しすぎ!
 もっさり慣性のついたEVA(船外活動服)で移動していくため、変に回転しちゃって方角を見失ったりするとてきめんに酔うのだが、それは宇宙酔いだと理解されたし。定期的に酸素パックを拾わないと酸素が刻一刻と減って静かな死に近づいていく緊張感の高さはVRだと倍増し、本当に苦しくなった気がするほど。
 関係者によると、全体のプレイボリュームは(タイムアタックではない通常の初見プレイで)4時間程度。しかも日本語ローカライズも調整しているそうですよ奥さん!


 そして日本からバッチリ参戦していたコロプラの『Fly to KUMA』も注目だ。東京ゲームショウなどでチェックした人もいると思う。
 ゲームとしては往年の名作『レミングス』のように、スタート地点からデストラップがあろうがなんだろうがまっすぐに歩いていくピンクのクマちゃんたちを、うまく障害物を設置して進行方向を変え、ゴールへ導くという一種のパズルゲーム。

 三人称視点のVRを採用しており、『Lucky's Tale』同様クマちゃんがチマチマ歩くのがかわいい(トラップにひっかかって盛大に昇天したりするけど)。上級編となるエキストラステージを含めて120面を収録しており、後半に行くに連れてもちろん難度も上昇。マップをじっくり眺めてギミックを見抜き、障害物として使えるブロックを適切に配置しなければいけない。

 なおコロプラでは『VR Tennis Online』もローンチタイトルとして出展しており、こちらは三人称視点で必殺技アリアリのテニスゲーム。マルチプレイモードもあって、2v2のダブルス対戦も可能だ。


 そして『Damaged Core』は、コンソールゲームも多数手がけたHigh Voltage SoftwareによるSFテイストのFPSで、ストーリーや設定などは『バイオショック』シリーズなどに関わったドリュー・ホームズ氏が担当。シングルプレイのみで、プレイボリュームは4時間半〜5時間程度。

 プレイヤーキャラクター自身は直接戦わず、敵ロボットをハッキングで乗っ取って戦うというギミックが特徴的で、基本的にはまずフィールド内で乗り移れるロボットを探し、ハッキングして別の敵ロボットを攻撃。集中砲火されて使用中のロボがヤバくなったり、強力な武器を持った敵が出てきたらそっちに再ハッキング……というのを繰り返していき、目標を達成したらクリアー。使用中のロボがぶっ壊れ、一定時間中に乗り移れるものがなかったりするとゲームオーバーになる。

 酔いに繋がりやすいコントローラーでの直接移動はやらずに、ハッキングの憑依だけでポジションを変えていくので酔わないし、レーザーなどを装備した巨大ロボになれた時は無敵感は味わえるしでいい感じ。
 でもいつもいい位置にハッキング可能な敵がいるわけではないので、リアルタイムストラテジーのように敵全体の動きを把握しながら、時にロボではなく監視カメラをハッキングして一回撤退したり(カメラなので当然攻撃できないがゲームオーバーは回避できる)、厄介な敵をきっちり狙えるハッキング対象を探したり、きちんと戦術を考えないといけないので、なかなかハードコア。(なおローンチタイトルではなく春発売予定)。


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●ローンチ後に出るユニークな春タイトル2本

 まだ春発売予定という段階で厳密にはローンチタイトルではないのだが、昨年末にサンフランシスコで行われたPlayStation Experienceで発表されたユービーアイソフトの『Eagle Flight』も遊んだので、まとめて紹介しておこう。

 本作は人類が姿を消してから50年が経過した近未来のパリが舞台となっている一種のフライトシューティングゲームで、プレイヤーはユービーアイソフトの大作アクションゲーム『アサシン クリード』でも象徴的に出てくる鷹となってパリの空を飛び回る(そしていろいろ細かく工夫されているおかげで、ビュンビュン動き回るのにあまり酔わない)。

 操作はシンプルにまとめられていて、顔を左右に傾ければその方向に旋回し、同様に上下を見ることで上昇・下降が可能。あとはコントローラーの左右トリガーボタンが加速・ブレーキで、Xボタンで(理屈はよくわからないが)鋭い鳴き声で敵を撃墜できるショットを撃てる。
 シングルプレイでは、建物を縫うように設置されたチェックポイントをくぐり抜けて飛んでいくタイムアタックや、マップ内を飛ぶ敵の鷹をすべて撃墜するといった各種ミッションが用意されている……のだが、遊びやすいし、壁に激突しそうになりながら飛びまくるタイムアタックは楽しいものの、内容としては割と普通。

 面白かったのはむしろ最大4v4のバトルが可能なマルチプレイ対戦で、会場ではキャプチャー・ザ・フラッグ系のチームバトルを遊ぶことができた。これはマップ内に登場するウサギ肉をゲットし、指定されたポイントまで届けるというルールだ。
 とくに説明してもらったわけでもないのに、当然のように「あえて敵の鷹に先に行かせて、ウサギを拾おうとした瞬間を狙う」、「追手が激突死するように橋の下を飛んだり狭い建物の隙間を飛んで運ぶ」、「それを無理に追わずに目標地点手前で上昇した所を遠距離から仕留める」といった駆け引きが自然と生まれてきて、誰かが撃墜されるたびに叫び声が上がる楽しい対戦ができた。なお記者はOculus VR創始者のパルマー・ラッキー氏に3回ぐらい撃墜されましたとさ。


 そしてもう一本の春タイトルは、『Damaged Core』と同じHigh VoltageによるOculus独占タイトル『Dragon Front』。F2P(基本プレイ無料)のオンライン対戦のカードゲームだ。なんとなく想像がついた人も多いかもしれないが、漫画「遊戯王」のようにカードを選んで召喚すると、眼前のフィールドにモンスターが3Dキャラクターとして降臨する!

 ゲームとしては、自分の召喚したキャラクターを進軍させ、敵陣地を攻略するのが目的。カードの召喚に必要な“マナ”のコントロール(あえてカードを出さずに貯めたり、カードを消費してマナに替えることもできる)が重要で、うまく立ち回れば強力な“チャンピオン”(必要マナが高いが、ダメージを受けるに連れて減っていく)による逆転も可能。とりあえず、カードを出す度にいちいち叫びながら遊んでみたい。


●さらに可能性の広がるTouch対応タイトル

 今年後半にRiftとは別売りで発売予定のモーションコントローラー“Oculus Touch”を使ったタイトルも遊んだので、発売は少し先だが紹介したい。

 『Rock Band VR』は、海外で一世風靡した音楽ゲーム『ロックバンド』シリーズから生まれたVR音楽ゲーム。PC用ギターコントローラーにTouchをひとつ取り付けて演奏する。設計としては一人称視点のギター演奏ゲームになっているのだが、RiftのセンサーがRift本体とTouchの位置関係を検出してくれるので、ゲーム中に手元のギターを見ると、ちゃんと自分が実際にギターコンを持っている位置にバーチャルギターを表示してくれるのだ。

 というわけで演奏中は、自分が本当に他のバンドメンバーとともにステージに立っているかのように、手元を見ずにオーディエンス(観客)を見ながら弾くもよし、恥を忍んでステージモニターに表示されるアイコン(どのボタンを弾くべきかを示す)と手元のボタンを交互に見ながら弾くもよし。ちなみにミスりまくって呆れるオーディエンスを見るのはメチャ辛い。


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▲バーチャルロッケンロールするバカこと筆者。

 一方『Fantastic Contraption』は、Touchを使って棒や回転するパーツを組み合わせて、ゴールエリアに特定のオブジェクトを通過させるためだけのヘンテコマシーンを制作する、ルーブ・ゴールドバーグ・マシン的というか、ピタゴラ装置的というか、昔のゲームで言えば『インクレディブル・マシーン』的な内容のVRゲーム。

 そう簡単にちゃんと目的通りに動くマシーンは完成しないので、自分でプレイするだけでなく、ヘッドマウントディスプレイをかぶって悪戦苦闘する友人をギャラリーとして横で眺めるだけでも楽しいタイトルだ。
 開発チームはVR体験をいかにストリーミングするかの研究も進めていて、現在はVR画面と現実のカメラ映像を合成する“Mixed Reality”という手法を提案している。そのユニークな絵面だけでも一見の価値アリ。


 そのほかTouch対応タイトルでは、西部劇&オカルトテイストのFPS『Dead & Buried』と、スポーツゲーム『VR Sports』もプレイした。

 『Dead & Buried』では、2v2のチームデスマッチで遊んだ(シングルプレイモードや協力プレイも一応ある)。遮蔽物に身を隠しながら二丁拳銃で敵を倒し、やられたら復活時にマップ内の別のポジションからスタートするというシンプル構成で、移動要素はない。

 また、ある場所は樽とショットガンが目の前にあったり、また別の場所は柱とその横にダイナマイトがあったり、ポジションごとに遮蔽物と特殊アイテムが異なるのがポイント。Touchコントローラーで直感的な銃撃が可能で、隠れながら狙いをつけたり、銃を振って弾をリロードしたり、相手のリロードの合間に特殊アイテムを拾ったり、プレイヤー本人は結構忙しい。


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▲樽に隠れて撃っている(つもり)

 最後に『VR Sports』は、アメフト・バスケ・ホッケー・野球を、自分の体を使ってVRで疑似体験するスポーツゲーム。バスケットではスリーポイントシュートコンテストやダンクコンテスト、アメフトならクオーターバックとなってフォワードにパスするといった、“おいしいシーン”だけを切り出したVR体験集的な体裁になっているのだが、フルに試合をやると疲れるので、個人的にはこれぐらいがちょうどいい。SIMPLEシリーズ的に気軽に買える値段で出てくれるといいのだが(現在は価格未定)。


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