天体観測衛星「ひとみ」で通信トラブル続く

宇宙の謎に迫ろうと先月打ち上げられた日本の天体観測衛星「ひとみ」で、26日から地上側との通信ができないトラブルが続いています。復旧しなければ、今後の本格的な観測ができなくなるおそれがあります。
先月17日に打ち上げられ、地球を回る軌道に投入された日本の天体観測衛星「ひとみ」は、JAXA=宇宙航空研究開発機構がおよそ310億円をかけて開発した「宇宙の天文台」とも言えるものです。ブラックホールなど宇宙の謎に迫れると世界の天文学者から期待が寄せられ、ことし5月から予定している本格的な観測に向けて、観測機器の点検が続けられていました。
ところが、26日午後4時40分ごろから、「ひとみ」と地上側との通信ができない状態が続いているということです。
これまでに、「ひとみ」から数分間だけ電波が届いた時間帯もあり、JAXAでは、衛星の向きに問題が生じて太陽光発電を十分に行えず、電力不足に陥っている可能性もあるとみています。
27日夜に記者会見を開いたJAXAの常田佐久宇宙科学研究所長は「今のところ詳しい原因は分かっておらず、復旧の見通しも立っていない。事態を大変重く受け止めている」と述べ、復旧しなければ、今後の本格的な観測ができなくなるおそれがあることを明らかにしました。
JAXAは対策本部を設置し、およそ40人態勢で原因の究明を進めています。