離婚事件で、ときおり遭遇するのが「稼がない夫」である。これには、いくつかの種類がある。 第1は、働いているが稼げない夫である。写真家とか音楽家とか、選択した職業そのものが、低所得である場合もあるし、勤務先の給料が極めて低額だが能力や性格から転職もできない場合もある。 第2は、働けるが、プライドから働かない場合である。かって一流企業に勤めていたが、リストラあるいは資格試験を目指して退職した。働こうと思えば、介護とか建築現場の仕事とかいろいろあるが、自分の学歴とか職歴に対するプライドが邪魔をして、「ランクが下の仕事」には就けない。 第3は、働きたいが、うつ病などで働けない場合である。仕事等で鬱になり、働くことが出来ない。 第4は、怠けもののため、働かない場合である。毎日、パチンコなどをしてぶらぶらしている。 第4タイプ以外は、根が真面目な人が多いし、稼がないことに対する負い目から、家事や育児などは、結構、熱心だったりする。「男女平等なんだから、妻が働き夫が家事をしても問題はない」と自分を納得させる。 [離婚原因] こういう夫をもって、最初のうちは、妻は、我慢しているが、次第に苛立ってくる。たとえ夫が几帳面に家事や育児をしていても、しだいに「こんな人と生涯を共にするなんて考えられない」と思うようになる。 特に子供がいる場合などは、妻に経済的負担が一気にくるから、妻自身が、「稼がない夫」を抱えて、次第に将来に暗い気持ちをもつようになり、その脱出策として、離婚を考えるようになる。「私は、子供ばかりか夫も支えていかなければならないのか。」 こういう離婚相談は、けっこうある。受任事件のなかでも、同様の事件は、複数ある。 こういう男性は、妻から離婚請求されたら認められるだろうか? 男性からすれば、第4のタイプの男性はともかくとして、それ以外は、悪意で働かないというわけではないから、離婚が認められるのは納得がいかないだろう。 働けても働こうとしない(専業主婦の)妻への離婚が容易に認められない以上は、男性だっておんなじだ。男女平等じゃないか。 しかし、こういう考えは、世間の常識とは異なるし、裁判所も厳しい。働かない、稼がない夫はしょせんは「ヒモ」だろうという風潮が世間には根強いし、家裁も、どのタイプも、離婚原因を認めるのが主流である。例えうつ病でも、同様に離婚を認めるのが主流だ。妻が鬱の場合とは、裁判所は正反対の考えだ。夫が働かず、妻が働いている家庭は、やむなく妻が働いているだけで、妻が一切の負担を背負っている場合が多い。妻から夫の負担を解放する必要があると考え得るのだ。 ただ、裁判官によっては、こういう実質を考えることなく、形式的に別居期間だけを重視する裁判官もいる。こういうタイプの裁判官にあたると、「奥さんのご苦労はわかりますが、別居期間が不足していますなぁ」と切り捨ててしまう。裁判官は、夫婦紛争の内実に巻き込まれることなく、形式的に外形から判断しろという考えが、一部の裁判官にあるからだ。 まあ、こういう裁判官にあたっても、高裁に控訴するとたいていは、ひっくりかえる。二審とも形式重視の裁判官にあたるという確率は低いからだ。 [親権・監護権争い] また親権・監護権争いでも、決定的に不理となる。普段から監護しているのは夫だという意見は、親権争いでは通用しない。継続性の原則は、男性の場合は、あまり通用しないのだ。 ただ、一回だけ、「普段から監護しているのは夫だ」という意見を裁判官が採用したケースに遭遇した。寒い地域の家裁だった。関東で生活していた夫婦で、妻が仕事で外出中に、夫が、子供を連れて北の実家に逃げ帰ったのだ。 妻は、その北の家庭裁判所に子供の引き渡しを求めたが、妻に対する調査官調査もしないまま、子の引き渡し請求を棄却した。もちろん、高裁で簡単に逆転したが、こういう考えをする裁判官もいるんだと驚いたことがある。 森法律事務所は、家事事件を常時400件近く扱う、家事事件に関しては国内有数の法律事務所です。離婚・男女問題・遺産分割の法律相談・ご依頼を承っております。いつでも、お電話・メールをください) http://www.mori-law-office.com/katei/ http://www.mori-law-office.com/katei/rikon_index.html TEL:03-3553-5916 (追記) 代表弁護士森公任と副代表弁護士森元みのりで、下記の本を出版しました。是非、ご購入ください。 特に、「簡易算定表だけでは解決できない養育費・婚姻費用算定事例集」は、現時点で7000部。計算上、全国の弁護士の5人に一人が購入した計算になります。「カラー版 一番よくわかる 離婚の準備・手続き・生活設計」は、発売から最近まで、Amazon・家庭法部門でナンバー1のベストセラーになっていました。 [専門家向け書籍] 「簡易算定表だけでは解決できない養育費・婚姻費用算定事例集」 新日本法規出版株式会社 編著/森公任(弁護士)、森元みのり(弁護士) https://www.sn-hoki.co.jp/shop/product/book/detail_50910.html ■価格(税込):3,780円 平成27年9月発売 「★適切な養育費・婚姻費用を算定するために! ◆「養育費・婚姻費用算定表」を単純に適用できない、さまざまな事情を抱えた事例を取り上げ、増額や減額の要因となる事情別に分類しています。 ◆各事例では、算定上の「POINT」を示した上で、裁判所の判断やその考え方についてわかりやすく解説しています。 ◆家事事件に精通した弁護士が、豊富な経験を踏まえて執筆しています。 」 (発売4ヶ月で2回増刷!おかげさまで爆発的に売れています!) [一般向け書籍] 1.夫婦親子関係 「カラー版 一番よくわかる 離婚の準備・手続き・生活設計」 共同著編者 森 公任・森元 みのり http://www.seitosha.co.jp/2_3950.html 販売価格 1,404円 離婚に悩むあなたの「知りたい」に応える決定版!! 「離婚という難題に直面している方の一歩を踏み出す道しるべになる本書は、離婚が認められる理由から、離婚までの準備、お金や子供についての考え方、離婚に関わるさまざまな手続きまで、離婚前後のあらゆるステージを網羅し、図解&イラストでわかりやすく解説しています! 」 2.遺産相続関係 「図解 相続・贈与・財産管理の法律と税金がわかる事典」 森 公任・森元 みのり 共同監修 2015年05月 発売 定価: 1,944円(本体:1,800円+税) http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4172 「人の死と同時に必ず発生する相続。相続が発生した場合の相続分、遺言、遺産分割、登記、裁判所での調停などの手続き、相続税知識まで幅広くフォローしています。また相続が発生する前から準備をしておきたい事項について、贈与税の知識や生前契約、成年後見、信託などの財産管理契約のしくみについても解説しています。 相続登記申請書、遺言状、契約書、家事調停手続きなどの書式サンプルも豊富に掲載しています。平成27年度の税制改正にも対応した安心の1冊です!」 「相続・遺言をめぐる法律と税金トラブル解決法129 」 森 公任・森元 みのり 共同監修 1,944円(税込)1,800円(税抜) 三修社 http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4116 「非嫡出子の相続分改正や 平成27年1月施行の相続税制改正など、最新の内容をわかりやすく解説! 相続の基本ルールから遺言、財産評価、遺産分割、 相続税・贈与税対策まで。法律・税金の重要事項、手続きを幅広く網羅」 【本書でとりあげる主なテーマ】 相続の基本ルール/遺産分割/遺言書の書き方/相続財産の評価/相続税・贈与税のしくみ/税金対策/相続問題をサポートする機関や相談先/公正証書作成/調停や審判の手続き/相続登記/申告手続き など「ケース別相続分早わかり」など、豊富な図解とQ&Aで相続問題を平易に解説! 「最新 図解で早わかり 改正対応! 相続・贈与の法律と税金」 森公任 ・ 森元みのり 共同監修 http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=3992 三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税) 「本書では、相続分や遺産分割、遺言など相続のしくみについて詳細に解説するとともに、相続税や贈与税のしくみ、教育資金の一括贈与に伴う贈与税の改正など平成25年度の税制改正についてわかりやすく解説しています。 さらに遺言書や相続手続きにそのまま利用できる書式なども掲載し、相続手続きをスムーズに進めることができるよう工夫しました。」 3.倒産法関係 倒産法全体をコンパクトにまとめてあり、全体像を把握するのに便利です。是非、ご購入ください。 「最新 図解で早わかり 倒産法のしくみ」 森公任 ・ 森元みのり共同 監修 http://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4054 三修社 定価: 1,890円(本体:1,800円+税) (楽天のベストセラーで、大学でもテキストとして利用されています) 「法的整理から私的整理まで、様々な倒産制度のしくみや実務上のポイントがわかる。 また、解散・清算、M&Aの知識まで倒産関連の知識を集約。 さらに、法人破産以外の個人民事再生や個人破産についてもフォローした一冊! 」 4,不動産法関係 重要解説+用語辞典の2つの機能を1冊に集約しました。 「図解 最新 不動産契約 基本法律用語辞典 」 森公任 ・ 森元みのり共同 監修 https://www.sanshusha.co.jp/np/details.do?goods_id=4240 三修社 定価: 1944円 |
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