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【首都スポ】

日体大のポセイドン4人衆 リオから東京へつなぐ水球物語

2016年3月27日 紙面から

水球男子日本代表に選ばれた日体大の(左から)飯田純士、荒井陸、足立聖弥、福島丈貴=横浜市青葉区の日体大健志台キャンパスで(河口貞史撮影)

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 1984年ロサンゼルス大会以来、32年ぶりの五輪出場を決めた水球男子日本代表ことポセイドンジャパン。水球ではかつて21年間無敗の376連勝を記録するなど国内では無類の強さを誇った日体大からも荒井陸(4年・秀明英光)、飯田純士(4年・青森商)、福島丈貴(4年・鹿児島南)、足立聖弥(2年・秀明英光)がリオデジャネイロ五輪の代表メンバーに選出された。水の勇者4人がリオ、そして東京五輪へ意気込みを新たにした。

  (川村庸介)

 水球日本代表の新時代は、水球の代名詞とも言える名門の4戦士が担う。日体大、そしてポセイドンジャパンでも攻撃的ポジションのドライバーを務める得点源の荒井と足立、守備の要のセンターバックを任される飯田、そしてGKの福島。“四者四様”に夢舞台への思いをはせる。

 165センチ、53キロと日本代表ではもっとも小柄な荒井だが「世界でも一番小さい選手かもしれないが、小さくてもできるというところを日本の皆さんに見てほしいし、世界で証明したい。小さいからこそできるプレーもある」と意気込む。大柄な外国人選手の懐に果敢に飛び込み、抜き去り、時には反則を誘発するプレーが持ち味だ。小学校3年生のときに「サッカーは簡単にできてしまい、できないことはないと思っていたら兄がやっていた水球が難しかった」という悔しさが原点。日本で行われたロンドン五輪アジア地区予選は1人のファンとして観戦していたが、4年間で日本代表の主軸を担うまでに成長した。

 13人の代表メンバーでは最年少の足立は、アジア予選で12得点をマーク。「五輪は夢だったので、大学生でかなってうれしい」と喜ぶ一方で「自分より点を取っている竹井(昂司)さんに負けたくない」と先輩相手にも遠慮することはない。20歳という年齢から、今大会はもちろん2020年東京五輪ではさらなる活躍も期待される。「今は若手だけど、4年後はいい年齢になっていろいろ経験をしているはず。エースという立場でオリンピックに出場してチームを引っ張りたい」と東京での活躍も見据える。

 昨年のアジア予選では相手のパス回しを阻止してからの速攻という守備システムを採用した日本代表。カウンターを狙いやすい反面相手をフリーにするリスクも背負う攻撃的ディフェンスを担った飯田は「五輪は予選より強い相手しか出てこない大会。守備のポジションとして、いかに失点を抑えるかが鍵になる」と気を引き締める。日体大入学当初は「泳ぐのも遅くて水球の『す』の字も知らなかったレベル」と振り返るが、日体大伝統の猛練習で日本代表にまで登り詰めた。それだけに「オリンピックに出られたのは、僕は運がよかっただけ。出られなかった先人の思いも背負って頑張りたい」と苦労人らしく意気込む。

 大学ナンバーワンGKの福島だが、代表では正GK棚村(ブルボン)の控えという立場を余儀なくされている。それでも「32年間苦労を背負い、オリンピックのためだけにやってきた人たちがいて僕たちが出られる。その人たちに恥じないよう頑張りたい」と試合に出られない以上の苦労を重ねてきた先輩の分の活躍も誓う。もちろん控えGKだけで終わるつもりはない。「僕が出ても大丈夫だと信頼してもらえるよう練習したいし、スタメンが万全で戦えるようサポートするのも仕事」とリオで足跡を残し東京での正GK定着という青写真を描いている。

 リオ、そして東京へ、飯田が「この4人が主要メンバーになって後輩を引っ張りたい」と言えば荒井も「オリンピックを経験すれば東京に出るときに雰囲気は分かる。今僕たちが社会人から教わっていることを伝えていく。東京では上位入賞が目標」と自覚をのぞかせる。日本の常勝チームから世界で通用する代表へ、4人がその第一歩を遠く南米の地で記す。

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