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【大相撲】

稀勢の里、2敗で終わればVじゃなくても来場所で綱とり

2016年3月27日 紙面から

寄り切りで照ノ富士(左)を破る(神代雅夫撮影)=エディオンアリーナ大阪で

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◇春場所<14日目>

(26日・エディオン アリーナ大阪)

 大関稀勢の里(29)=田子ノ浦=が大関照ノ富士を寄り切り、2敗を死守。逆転での初優勝、来場所での綱とりに望みを残した。大関豪栄道も平幕勢を首投げで下した。1敗の横綱白鵬は大関琴奨菊を上手投げで退け、単独首位をキープ。4場所ぶり36度目の賜杯に前進した。琴奨菊と照ノ富士は6敗目。鶴竜−日馬富士の横綱同士の一戦は鶴竜が寄り切りで勝ち、ともに9勝5敗となった。

   ◇

 稀勢の里の心は乱れなかった。立ち合いで照ノ富士に2度、突っかけられたが、「まあ、落ち着いてました」。気を引き締め直すように目を見開く。3度目で立つと、左で追っ付けてから左を差す。上手も引きつけて寄り切った。悲願の初優勝へ、可能性を残した。

 「自信を持っていけたと思う。いいと思いますよ」。立ち合いの呼吸が合わなくても、どこ吹く風だった。直前に2敗で並ぶ豪栄道が勝ち、負ければ優勝が消える緊張感とも無縁だった。「集中してやるだけ。自分との戦いですから」

 今場所の稀勢の里は平常心を貫けている。土俵に上がる前の顔は穏やかだ。「気のせいじゃない? 変わらないよ」と朝稽古後にかわしながらも、笑みを浮かべるほどリラックスできている。11日目に負けた白鵬戦では、立ち合いで突っかけられて完全にペースを握られた。教訓にしたのか、この日は雰囲気にのまれることなく堂々と戦った。

 悲願の賜杯を手にするには、千秋楽で豪栄道に勝った上で白鵬が負け、優勝決定戦に持ち込むのが最低条件だ。本割に勝つことで綱とりの芽も出てきそうだ。八角理事長(元横綱北勝海)は13勝前提の夏場所での綱とりの可能性について触れ、豪栄道には「その前の成績がね。今回初めて2桁でしょ?」と辛口評価も、稀勢の里は高評価。白鵬に完敗したイメージの悪さを指摘しつつも、「もともとずっといい成績で来て実力はある。きょうの相撲を見ると強いもんね」と語った。在位26場所で2桁勝利19度の安定感を残しているだけに勝てば現実味を帯びてくる。

 稀勢の里は過去に2度、綱とりに失敗した。2013年夏場所に13勝(2敗)し、綱とりになった名古屋場所は11勝(4敗)。同年九州場所に13勝(2敗)を挙げて再び綱とりを迎えた14年初場所は7勝(8敗)止まりだった。「まあ、しっかり。最後。明日。(気持ちは)変わらないですよ」と稀勢の里は千秋楽だけを見据える。賜杯と三度目の正直となる綱とりロードに歩みを進めるためにも、絶対に負けられない。 (永井響太)

 

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