キャブレターとは
キャブレターの原理

エンジンが空気を吸い込もうする際、キャブの通路に空気の流れが発生します。すると通路内の圧力が下がり、ガソリンが吸い上げられ、空気と混ざり合い細かい霧状になってシリンダー内へと引き込まれていきます。
この空気とガソリンの混ざり合ったガスを混合気と言います。 |
キャブレターの構造と種類
固定ベンチュリー型
(バタフライキャブレター)

|
ベンチュリ部(空気の通路で狭くなっている絞りの部分)の径が一定で、アクセル(スロットル)に連動したバタフライバルブ(蝶弁)が取り付けてあるタイプ。
ベンチュリ部の径がアクセルの開閉や吸入空気の量に関係なく一定で、アクセルと連動したバタフライバルブによって混合気の量を調節しています。
メリット・・・構造が簡単で調整が容易。
デメリット・・・ベンチュリーが固定されてる為、低速時と高速時の運転を両立させる事が難しい。
|
強制可変ベンチュリー型
VM型

CV型

|
ピストンバルブ型(VM型:ヴァリアブル・ベンチュリーのモノブロック)
スロットルバルブ(ピストンバルブ)を直接アクセルワイヤーで上下させるタイプ。 スロットルの開度によって直接スロットルバルブが上下し、空気の流量が変化。
メリット・・・スロットルの開閉に対してのエンジンのレスポンスが良い。低中速のエンジン反応がCV型より優れている。
デメリット・・・アクセルコントロールに敏感で必要以上の空気を送ってしまうと息つきや失速を起こしやすい。
|
負圧可変ベンチュリー型(CV型:コンスタント・バキューム)
スロットルバルブをスロットルワイヤで直接動作させず、負圧によって上下させるタイプ。
通路内のバタフライ(これもスロットルバルブ)をスロットルワイヤーによってを開閉させ、空気の流量を調整。
負圧により、ピストンバルブが上下し、ガソリンの流量を決めます。
FCRやHSRなどは、通路径を変化させるスロットルバルブがスロットルワイヤーで引き上げられガスを供給する仕組みになっています。
メリット・・スロットル開度に関係なく、状況に応じて自動的にガスを供給しているので、必要以上の空気が送り込まれることがなく加速不良などが起こりにくい。
デメリット・・・負圧が高まるまでピストンバルブが持ち上がらないため、アクセルを開けた時の反応が鈍い。
|
スーパーカブに装着可能なピストンバルブ型キャブレター
主なメーカーと種類
ヨシムラ製キャブ
CR-mini22
FCR-MJN(39φ,28φ)
TM-MJN(28φ,26φ,24φ)
TMR-MJN
MJN:マルチプルジェットノズルの略。従来のジェットノズルの代わりに中空のパイプに数個の微小な穴があけられているノズルを使用。 |
CR-mini22 |
FCR-MJN28 |
TM-MJN24 |
TM-MJN26 |
TM-MJN28 |
TMR-MJN28 |

TM-MJN24/26用スロットルSET、およびインシュレーターの使用が可能 |

|

|
|
|

|
ケーヒン製キャブ
PB (18φ,16φ,13φ)
PC (24φ,22φ,20φ,18φ,16φ,15φ)
PD (22φ、24φ)
PWK / PE トライアル用(28φ,26φ,24φ,22φ,20φ)
PJ / PWK / PWM 2サイクルエンジン・ロードレース/モトクロス用
CR mini22 FCR フラットバルブCR
スーパーバイク・耐久用 (35φ,28φ,26φ,22φ)
|
PC20
|
PD22
|
PD22加速ポンプ付
|
PE24
|
PWK28
|
CR26
|

|

|

|

|

類似品に注意!
|

|
CR mini22 |
FCR28
|
|
|
|
|

M/J・S/J は
PE、PWK と共通
|

ホリゾンタルタイプ |
|
|
|
|
ホリゾンタルとダウンドラフトの違い

|
キャブの取り付け角度の違いにより分類される。
キャブが水平な場合はホリゾンタルタイプ。
キャブから吸気ポート〜吸気バルブまでの経路が直線的な場合はダウンドラフトタイプ。
|
ミクニ製キャブ
VM (26φ,20φ,18φ)
TMR 高性能二輪用 フラットバルブ
(40φ,35φ,28φ,24φ,20φ)
TM 二輪・スノーモービル用
(26φ,24φ,22φ,20φ,18φ)
*JAPAN T/Aの刻印は日本国内生産の製品ではありません。
|
中国製キャブ
*キャブは表示サイズがまちまちなので必ずベンチュリ径を計ってください。
JAPAN T/Aの刻印は海外生産の製品です。
ミクニVM22
|
ミクニVM26
|
DEKNI
PZ27
|

パイロットジェットは国内製より細いです。
|

|

KEIHIN似
|
OKO製キャブ
PWK21φ:フィルター側口径50mm、マニホールド側口径31mm
PWK24φ:フィルター側口径50mm、マニホールド側口径35mm(パワージェット機構付き)
PWK28φ:フィルター側口径50mm、マニホールド側口径35mm(分離給油対応型)
PWK30φ:フィルター側口径50mm、マニホールド側口径35mm
ケイヒンのジェット使用可
|
番外編
電気式オートチョーク式 |
|
 
|
中華125CC/150CCスクータートライク用
マニホールド側(エンジン側)内径約24mm/クリーナー側外径約41mm
|
  
|
マニホールド側(エンジン側)内径約24mm/クリーナー側外径約41mm。 こちらの方が安いです。 |
補足
フラットタイプ
|
キャブ自体の長さを短くし、空気をエンジンに早く到達させ、全開時の抵抗を少なくしている。このタイプのピストンバルブは板状や半月状もある。
|
加速ポンプ
|
急にアクセルを開けると燃料の吸出しが間に合わず、混合気が薄く(息つき)なります。それを防ぐために、機械的にガソリンを送り出すポンプのこと。
|
RAYバルブ

JUN PC20用 |
混合気の流れる速度が速くなり、低中速を改善する新構造スロットルバルブ。 |
強制開閉式キャブ |
スロットルの開け戻し側それぞれにワイヤーが付く、2本のワイヤーを備えたキャブ。 |
チョークバルブとは
エアクリーナー側にバタフライバルブなどを設けたもの。 チョークを引くことで、エンジンを容易に始動させることができます。特に寒い日は、ガソリンが言うことを聞かずか、なかなか気化しないで、シリンダーに辿り着きません。そこで、チョークで空気を遮断してガソリン量を増し、混合気を濃い状態にしてエンジンを容易に始動させることができます。
チョークを引いたまま走行すると、不完全燃焼でエンジンが止まります。
|
キャブレター用語と役割 (難しいことは省きます)
 
@メインジェット:(MJ)数字が大きくなれば燃料の量が濃くなり、数字が小さいと燃料が薄くなります。
Aパイロットジェット(スロージェット):(PJ)数字が大きくなればガソリン流量が増え、数字が小さいと流量が少なくなります。
Bクリップ位置:下げると混合ガスの量が濃くなり、上げると混合ガスが薄くなります。
Cアイドルスクリュー:締めればアイドリング回転が上がり、緩めれば回転が下がります。
Dパイロットエアスクリュー:混合ガスの空気の流入量を調節するもので、ゆるめると薄くなり、締めれば濃くなります。
|
それぞれの作業範囲
スロットル開度
アクスル閉開
|
0%
全閉
|
25%
1/4
|
50%
1/2
|
75%
3/4
|
100%
全開
|
@メインジェット(MJ)
|
|
|
|
|
|
燃料の量
|
|
|
|
|
Aパイロットジェット(PJ)
|
|
ガソリン流量
|
|
|
|
|
|
Bクリップ位置
|
|
|
混合ガスの量
|
|
|
|
|
|
Cアイドルスクリュー 燃調には関係ない
|
|
|
|
|
|
|
Dパイロットエアースクリュー
|
空気の流入量
|
|
|
|
|
キャブセッティングで、いろいろな現象を言葉に置き換えると、「かぶる」「息つき」「ノッキング」「頭打ち」「ぼこつく」「もたつく」と言います。
ここでは、詳しい説明はせず、どんな現象かだけに、とどめておきます。
「かぶる」・・・プラグから火が飛ばずエンジンが掛からない。
「息つき」・・・急加速中の一瞬、ブスブスと失火する。
「ノッキング」・・・ヘッド周辺から金属的な音が聞こえる。エンジンがガタガタと震える。
「頭打ち」・・・一定のエンジン回転数に達すると、それ以上エンジン回転が上がらない。
「ぼこつく」・・・エンジンがボボボボボッや、モモモモッまたは、ボコボコボコッと、こもったような音が聞こえる。
「もたつく」・・・加速がにぶく感じる。
|
プラグの焼き具合
混合ガスが薄いとプラグは白くなり、混合ガスが濃いとプラグは黒くなります。とくに冬場は濃くなりバックファイヤーでフィルターが飛んだり、逆に夏場は薄なり、アクセルを戻すとパンパンとアフターファイヤーという現象が起きます。焼き具合はイリジウムよりノーマルプラグの方が判断しやすいでしょう。
|

左は白い 右はOK範囲
プラグを見て白いと焼けすぎ、黒いとカブっているということになりますが、
焼けすぎの場合は熱価を上げて、カブってる時は熱価を下げます。
番手が大きいものはプラグ自体が冷えやすく、番手が小さいものは冷えにくいうことです。
|
|