前回書いたゼロ秒思考の記事ですが、自分の中でまだ書き足りていないポイントがあります。それは、「どのようにゼロ秒思考を具体的に使っていったのか」という実経験です。
具体的な紹介と、「これをやったことでこんないいことがあったよ!」ということについては、前回細かく説明しましたが、「実際どのように使うの?」というところについて、気になっている方が多いように見受けられました。
どのようなライフハック、思考法についてもいえることですが、「いいのはわかったけど、具体的にどうやるのよ!?」というところへの答えられるかどうかは非常に重要なポイントです。今回は、いったんゼロ秒思考のおさらいをした後に、ぼくが実際にやってきた使いどころについて、超具体的に説明します。
まずはおさらい - ゼロ秒思考って何?
「ゼロ秒思考」とは、元マッキンゼーの赤羽氏が、数十年にわたるコンサルティング経験の中で磨き上げてきた思考と、そこに到達するまでのシンプルなトレーニング方法について解説した書籍です。
まず、ゼロ秒思考の定義について、おさらいしてみましょう。
ゼロ秒とは、 すなわち、瞬時に現状を認識し、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定できることだ。迷っている時間はゼロ、思い悩んでいる時間はゼロとなる。
文字通り瞬時にできることが多いが、もう少し時間がかかる場合もある。それでも、従来に比べて驚くほどのスピードアップとなる。今、目の前で何が起きているのか、どういう現象なのか、一瞬のうちに判断し、判断したら次の瞬間に進むべき道を複数考え、長所短所の比較をし、即座に方針を決定できるようになる。
どんな難しそうに見える問題があっても、一瞬でその現状を把握し、本質を見抜き、解決策を見出して即座に行動に移せること、それがゼロ秒思考だとぼくは考えています。それにより、行動がどんどん早くなり、思考もまとまり、いろんなことがうまくいくようになる。そして、それを実際に鍛えるためのトレーニングが「A4メモ書き」です。
「メモ書き」は、こわばった頭をほぐす格好の柔軟体操であり、頭を鍛える手軽な練習方法だ。頭に浮かぶ疑問、アイデアを即座に書き留める、頭がどんどん動くようになり、気持ちも整理されるようになる。自意識にとらわれ悩むことがなくなっていく。「メモ書き」により、誰でも、この境地にかなり早く到達できる。自分でも驚くほど頭の回転が速くなる。
具体的には、A4用紙を横置きにし、1件1ページで、1ページに4-6行、各行20字-30字、1ページを1分以内、毎日10ページ書く。したがって、毎日10分だけメモを書く。(下記参照)
ぜひ一度実際にやって欲しいのですが、これは非常にとっつきやすいトレーニング方法です。今まであるいろいろな思考法の弱点は、難易度の高さです。「そりゃそんなにやれば頭良くなると思うけど、そんな難しいこと毎日できないよ・・・」という感じに挫折していってしまった方も数多くいらっしゃるのではないでしょうか。その可能性が著しく低いのが、この"ゼロ秒思考"なのです。
ここまでは前回の復習です。この先で、「ぼくが実際にどうやってこれを実践したか」というところについて、細かく説明します。
使いどころその1:出社前の頭の整理
ぼくは毎朝早めに起きて、出社前に駅の近くのカフェで1時間ほど過ごすのが日課になっています。コーヒーとサラダを買って席に着いたら、まずは紙を取り出して一気に考えていることを吐き出していきます。具体的なトピックはその日によって違いますが、例えばこんな感じ。
- 今日やらないといけないのは?
- 優先順位はどのようになっている?
- それらをすべて午前中に片付けるにはどうすればいい?
- すべて終わらせた後に前倒しできるものは何か?
- 自分の仕事のスピードを高速化させるためにすべきことは?
- そうするための具体的なアクションは?
- 一流コンサルタントに必要な資質とは?
- 自分がそれを1年以内につけるにはどうすればいい?
- そのためには今日どうすればいい?
- そもそもなぜ一流のコンサルタントになりたいのか?
- 一流のコンサルタントの定義とは?
- 一流のコンサルタントと自分の違いとは?
- その違いを埋めるために今すぐにできることは?
とかとか。仕事が始まる前に、理想的な仕事の状況を想像し、それをするための具体的なアクションへ落とすところまでやったり、自分が目標としている「一流のコンサルタント」というところまで、どうすれば到達するか具体的・抽象的に考えたり、そんなことをしています。
こうすることで、毎朝の「あーねむいなー、仕事だるいなー」モードから一瞬で「やってやるか!」モードに切り替えることができ、午前中の仕事を元気いっぱいこなすことができます。
使いどころその2:会議設計
会議の目的を明確化し、アジェンダを定義し、あるべきアウトプットを考え、それらを前提とした流れをどうつくるか考えることは非常に大事。(会議設計に関しては、ぜひロジカルプレゼンテーションも読んでほしいです)
特に重要な会議の準備をするときは、ぼくは必ずメモに書き出していきます。具体的には下記のような感じ。
- 今回の会議の目的はなんだ?
- それを達成するためのアジェンダとして必要なのは?
- そのとおりに行かなくなる理由は何が考えられる?
- ○○さんの反対を未然に防ぐために今何ができる?
- 議論を長引かせないためには?
- みなが納得する判断基準とは?
こうやって会議の具体的な目的や進め方、リスク等を事前に考えておくことで、会議が空中分解したり無駄に長引いたりすることがなくなります。また、事前に会議のことを考えている総量がほかの人と一線を画すので、会議を引っ張る存在になることができます。
使いどころその3:資料作成
パワーポイントやエクセル等の資料作成のときにもメモ書きはよく使います。(パワーポイントの作り方については下記書籍に非常によくまとまっていましたのでご参照あれ。)
資料作成時にもっともやってはいけないのが、全体像や各スライドのメッセージがあいまいなままに作成しだすことです。それをしてしまうと、ほぼ100%後で全面修正する涙目状態が待っています・・・。それを防ぐためにも、メモに書いてみましょう。
- この資料の目的は?
- 全体のメッセージは?
- そのメッセージを伝えるために、どのように構成していく?
- 導入部分のメッセージは?
- 現状説明のときに必要なデータは?
- そのデータはどうしたら集められるか?
- 今現在持っている仮説はどのようなものか?
- それらのデータ収集および仮説強化を1時間でするためには?
- ○○の市場規模と××の需要に負の相関があることを証明するには?
など。事前にメモ書きによってポイントを抑えることで、無駄なことで遠回りする可能性がだいぶ低くなります。
使いどころその4:人の相談
また、ぼくは人の相談に乗るときにもメモをよく使います。まずは相手の話を一気に引き出し、それをあとでまとめて整理する。そうすると、相手が「自分のことを深く納得してくれた!」と思うため、その後にするアドバイスも非常に入りやすくなります。なので、ぼくは下記のような質問をしながらメモにも書いていきます。
- 具体的にどのような悩みがある?
- その悩みの中で一番つらいものはなに?
- そうなってしまったのはいつから?
- そうなってしまった原因は何だと考えている?
- 本当に原因はそれだけ?他にもある?
こんな感じで相手の悩みの深いところまで整理できたら、あとは簡単です。今までの自分の経験も交えつつ、それらを即座に解決できる案を提示してあげればいい。なんとなくアドバイスするだけで人は変わりませんが、しっかりと自分で原因を把握した上で適切なアドバイスを貰えば、思った以上に効果がでるものです。
具体的に体験したい方はこちらもどうぞ。そろそろ締め切るかもしれないので、お早めに。
使いどころその5:気晴らし
日々生きていると、やっぱりなんとなくつまんないなー、うまくいってないなー、このままでいいのかなー、みたいな憂鬱な気分になってしまうことってあるんです。そんなときにはぜひ紙を引っ張り出して見ましょう。
- なんか気分が乗らないのは?
- 具体的に残っている作業とは?
- それらをやる以外に気分を良くする方法は?
- それらの作業を午前中に終わらせるには?
- 午前中に終わらせたら午後は何をする?
なんかいろいろ細かいタスクが積みあがり、それが気になって憂鬱な感じになっていた様子ですね。さっとやればそれだけで解決します。やりましょう。
どんなときでも使える。ぜひ実践を!
ここにあげた5つの使いどころに限らず、他にもいろいろな場面で応用が利くはずです。ゼロ秒思考を用いて毎日事前のリスクつぶし、できることのリストアップ、それらを最速で実施する方法を考え続けていくと、かなりイイことが起こりそうな気がしませんか?
ぼくはそれを2年間続けることができたので、前回述べたようなメリットを享受することができています。こんなんですね。
- コンサルファーム就職&さくっと昇進
- コンプレックス克服
- 毎日ブログ更新&多くの人に読んでいただける
- 英語でディスカッションとかもできるようになった
- 考え方が非常に前向きに
- プライベートもいいかんじ
みなさんもぜひコレを続けてみてください。いろいろいいことありますよ。