サッカー日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督(63)が選手たちを「焼き肉ミーティング」に送り出した。25日に「選手だけで焼き肉を食べに出たい」という要望を快諾。体制初年度は代表合宿中は散歩も許可制だったが、うって変わって外食をあっさりと許可した。ピッチ外でも、チームは「第2段階」に進もうとしている。チームは26日、さいたま市内でW杯ロシア大会アジア2次予選E組最終戦のシリア戦に向けて練習した。
すっかり日が落ち、ライトが照らす練習ピッチ。ハリルホジッチ監督は全体練習後、居残り練習組にまで指導を行っていた。MF香川、DF槙野らに、ミドルシュートの打ち方について事細かく指示。結局、最後までピッチに残っていた。
29日のシリア戦を待たずして、最終予選への進出が決まった。しかし指揮官は「やるべきことはまだまだある。W杯本大会となれば、また別な話にもなる」と手綱を締めた。
「合宿のたび、グループとして向上していることを証明しないと。ピッチ内はもちろん、宿舎でもいろいろなことを行う。今晩も選手だけのミーティングをすることになっている」
体制1年目の昨年は、ミーティングでも一方的に話すことが多く、代表宿舎から散歩で外出する時ですら許可制だった。しかし2年目に入り、ハリルホジッチ監督は「第2段階に進む」と明言。より自主性を求めるようになり、前夜には、選手が要望した「焼き肉集会」にもOKを出した。
“幹事”槙野らが、地元埼玉の焼き肉店をリストアップ。「選手だけで食べに行き、遠慮なく意見を交換する」というコンセプトも、監督の理解を得た。槙野は「すごく盛り上がった。代表歴が浅い選手も含めて、一体感が出た」と満足げに振り返った。
チームは変わりつつある。24日アフガニスタン戦では、ベンチのFW本田と槙野が試合中「今後に向けてベンチのルールをつくろう」と話し合っていた。点を取ったら、全員でベンチを飛び出して、祝福して盛り上げる。16強に進出した南アフリカW杯当時の様子も踏まえ、勝てるチームの雰囲気づくりに着手した。
チーム5点目の直後。うっかり座ったままだった本田には、槙野が「自分が言ったことはやり通す!」とツッコミを入れた。最終予選の佳境、さらにはW杯本大会の厳しい戦いも見据え、ピッチ内外で着々と準備は進む。【塩畑大輔】