吉村治彦
2016年3月27日07時27分
大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)に刃物を持った男が侵入し、児童らを殺傷した事件から今年6月で15年を迎える。亡くなった8人のうち7人は当時2年生だった。大学生になった同級生たちが今春、社会に巣立つ。
「社会人になることに緊張や不安もありますが、早く一人前になって世界で活躍できるようになりたい」。今春、関西学院大を卒業した大阪府池田市の荻野晋吾さん(22)は4月から総合商社で働く。
事件のことははっきり覚えている。2時限目が終わり、外で遊ぼうと1階の教室を出て中庭に面したげた箱の前に立った時、教室から「わー」と叫び声が聞こえた。
みんなが一斉に教室から飛び出し、見知らぬ男が追ってきた。振り返ると、包丁を持つ男と目が合い、校庭へと懸命に走った。隣の教室で血を流して倒れている児童を見た。
校庭では、「○○ちゃんがいない」と泣き叫ぶ児童がいた。大変なことが起きたと思った。迎えに来た母の安堵(あんど)の表情が忘れられない。
翌日、8人が亡くなったことを知った。心の平衡は保てたつもりだったが、後でおねしょをしたり抱っこをせがんだりしていたと、母から聞いた。
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朝日新聞社会部
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