中国と韓国の借金漬けがいよいよ深刻な事態になってきた。昨年1年間の家計の債務増加率は、中国が新興国で1位で韓国が2位となったのだ。企業の債務も急拡大している。中韓両国とも、製造業主導の輸出経済から、消費やサービスなど内需中心の先進国型経済への移行を図るが、家計も企業も借金で首が回らないのが実情だ。
各国の銀行などで構成する国際金融協会(IIF)がまとめた新興市場の負債に関する報告書によると、新興国19カ国の昨年1年間の家計債務の対国内総生産(GDP)比の増加率は、中国が3・59%で最も大きかった。2位が韓国で3・45%増だったと朝鮮日報が報じている。いずれも家計の借金の伸びが、実体経済の成長率を上回っている状況だ。
中国では、家計債務がGDPに占める割合は現状では39%にとどまっているが、急拡大は止まりそうもない。習近平政権は、中国経済を製造業主導から、サービスや消費主導に移行させようとしており、住宅投資など家計の借金を増やす方向に誘導する政策を打ち出すのは確実なためだ。
一方、家計の借金がすでに深刻な水準に達しているのが韓国だ。家計債務の比率は対GDP比で実に87・75%を占め、1人当たりの家計債務は2万9000ドル(約325万円)にのぼる。
こちらも政策の失敗によって借金がふくらんでいる。朴槿恵(パク・クネ)政権は低迷する景気の回復策として、不動産市場の活性化を狙った住宅ローン規制の緩和を行った。ところが家計の負債がますます増えた結果消費が伸び悩み、経済も低成長から抜け出せないという悪循環に陥ってしまった。
家計の借金に加え、企業の借金を含む民間債務も中国と韓国の急増が目立っている。国際決済銀行(BIS)の統計によると、昨年9月時点の中国の民間債務は21兆5160億ドル(約2417兆円)に達した。