ブリュッセル=吉田美智子
2016年3月27日05時02分
ブリュッセルでの連続テロをめぐり、ベルギーの治安当局への風当たりが強まっている。トルコから送還された容疑者の監視を怠っていなければ、計約300人が死傷する自爆テロを防げたのではないか――。そんな空気が強まり、内務相や司法相が、捜査が続くさなかに辞任を申し出る異例の事態だ。
批判が出始めたのは、トルコのエルドアン大統領の発言からだった。テロ翌日の23日、空港で自爆したイブラヒム・バクラウィ容疑者(29)について、「トルコ南部で拘束して国外追放した人物だ。テロリストだと警告していた」と明かした。米CNNなどは、バクラウィ兄弟が米国の対テロ当局の監視対象者リストに含まれていたとも報じた。昨年11月のパリ同時多発テロの時期にリストに入ったという。
イブラヒム容疑者は強盗などの罪で服役した経験があり、昨夏、トルコとシリアの国境付近で身柄を拘束された。過激派組織「イスラム国」(IS)の戦闘に加わるためだったとみられ、トルコ当局は、オランダのスキポール空港へと送還した。その後、行方が分からなくなっていた。
ベルギー政府は当初、「容疑者の送還が通告されたのは、オランダに到着した後だった」(ヒーンス司法相)などと弁明したが、25日の議会への説明などで不手際があらわになった。
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朝日新聞国際報道部
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