「週刊新潮」で、5人の女性と不倫関係を持ったことを認めた作家、乙武洋匡氏(39)は24日、報道各社に謝罪のコメントを送った。妻仁美さんも同様のコメントを発表。夫の不倫で妻が謝罪するのは、極めて異例で「炎上対策か」の声もある。夫婦の「スピード謝罪」には、今夏の参院選出馬への影響を最小限に食い止めたい思惑も見える。乙武氏の出馬準備を進める自民党では、比例代表のSPEED今井絵理子(32)に続く目玉候補のスキャンダルに、頭を抱えている。

 乙武氏は、自身の不倫報道が掲載された「週刊新潮」が書店に並ぶ前の24日早朝、謝罪コメントを発表。「これまで支えてくれた妻、私を慕ってくださっている方々を裏切る行為。決して許されるものではありません」と、報道内容を認めた上で「一生かかっても償いきれないほどの過ちであるにもかかわらず、妻は私を許し、やり直そうと言ってくれた」と、夫人との関係修復も強調した。

 世間を驚かせたのは、夫人の謝罪コメントだ。「このような事態を招いたのは、妻である私にも責任の一端がある」などとし、夫の不貞を受け止める心境がつづられた。今日25日は、2人の結婚記念日だ。

 政界関係者によると、報道内容が事前に判明した23日午後以降、乙武氏の周辺が事態収拾に動いた。夫妻によるスピード謝罪と、変わらない“夫婦愛”が演出された格好。乙武氏は自民党からの参院選出馬が予定されており、問題拡大を早めに食い止める必要があると判断が働いたようだ。

 自民党は、乙武氏を東京選挙区に擁立する方針で、正式発表の日程を調整していた。3月中の会見プランもあったが、今回の報道で延期されたようだ。党関係者は「まだ何も発表しておらず、特に混乱もない」と話し、現段階で擁立方針は変わっていないという。しかし別の関係者は「選挙で不倫は、最大のNGワード。女性有権者の受け止めは深刻だから。出馬が決まっても会見すれば、不倫の釈明が必要になる。台無しだ」と打ち明けた。

 同党では先月、比例代表に擁立する今井絵理子をお披露目した後、交際男性の逮捕歴報道が浮上。目玉候補にスキャンダルが相次ぎ、党は難しい対応を迫られている。東京選挙区(改選6)では現職、新人の2勝を目指しているが、仮に乙武氏が出馬辞退に追い込まれた場合、今から乙武氏レベルの目玉候補を見つけるのは難しい。

 党は今回の報道に対する世論、特に女性有権者の反応を見極め、乙武氏の出馬の可否を判断するとみられる。ただ永田町関係者によると、今後も乙武氏のスキャンダルが「続報」で出る可能性があるという。世間の不倫への目は厳しい。これ以上混乱が広がれば、出馬は厳しくなりそうだ。