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待機児童 子供本位の抜本対策を

 「保育園落ちた」の匿名ブログを機にクローズアップされた待機児童問題で、政府は小規模保育や一時預かりなどを拡充する緊急対策を検討している。だが、既存の施設に乳幼児を詰め込むような小手先の案が多く、これで親たちの怒りや不安が静まるとは思えない。

     国がまず考えるべきは子供が健全に育つ環境の整備であり、緊急対策とは別に子供本位の抜本的な改革が必要だ。

     認可保育所は年々増えているのに待機児童が減らないのは、低賃金の非正規雇用や夫婦共働きの増加によるものと言われてきた。しかし、切実に保育所を求める親たちが多数いるのに、国も自治体も「待機児童」の定義を狭くしてニーズから目を背けてきたことに大きな原因がある。

     塩崎恭久厚生労働相は、定義から外れて待機児童と認定されなかった子供が昨年4月時点で4万9000人いたことを明らかにした。同時点で自治体が待機児童と認定したのは計2万3167人。その2倍以上の潜在的な待機児童がいたわけだ。

     従来の厚労省の定義では、自治体が提示した施設を断って別の施設を希望したり、自治体が補助する認可外施設に入ったりした場合、待機児童の対象外になる。しかし、通勤経路から離れた施設やきょうだい別々の施設を提示され、やむを得ず断る人もいる。空きがないため育児休業を延長したり、保育所を求めて別の自治体に転居したりする人も考慮すると潜在待機児童はさらに膨らむ。

     待機児童の8割以上が0〜2歳児で、その多くが首都圏や大阪などの大都市に住んでいる。緊急対策で定員増が検討されている小規模保育所は、原則0〜2歳児を預かり、空き店舗やマンションの一室でも開設できるため、都市部の受け皿として有力視されている。

     しかし、職員全員に保育士資格を求められる認可保育所と違って、職員の半数以上が保育士であれば認可される。狭い部屋に多数の乳幼児が預けられることと合わせ、保育の質の低下が懸念される。

     一時預かりを常時利用できるようにする案もあるが、緊急時に一時預かりが不足する心配もある。

     匿名ブログについて国会で質問された当初、政府の対応は鈍かった。親たちの怒りが噴き出し、慌てて対策を迫られた認識の浅さが緊急対策に表れているのではないか。

     抜本的には保育士の量と質を高め、認可保育所を増設することが必要だ。野党側は保育士の給与を月5万円増やす法案を提出する予定という。定員割れしている幼稚園の活用も含め、考えられる政策を総動員して待機児童の解消に努めるべきだ。

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