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北朝鮮の“資格”で問題提起 「国連」除名の可能性はあるのか

THE PAGE 3月26日(土)17時0分配信

 先月、国連本部で開かれた会議で、韓国の呉俊国連大使らが「北朝鮮に国連加盟国としての資格があるのか疑問視せざるを得ない」と発言しました。これは相次ぐ核実験と事実上の弾道ミサイルの発射を受けての発言ですが、韓国が北朝鮮に対して「国連加盟国としての資格」を問うのは初めてのことです。これに対して、北朝鮮は「自衛のため」という立場を崩していません。果たして、北朝鮮が国連から「除名」されることはあるのでしょうか。(国際政治学者・六辻彰二)

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国連加盟国の「資格」とは

 まず、どんな国に国連加盟国としての資格があるのでしょうか。

 現在、国連には193か国が加盟しています。国連憲章では、国連加盟国になる要件について以下のように定められています。「国際連合における加盟国の地位は、この憲章に掲げる義務を受諾し、かつこの義務を履行する能力および意思があると認められる全ての平和愛好国に開放されている」(国連憲章第4条1項)。つまり、国連憲章に含まれている義務を受け入れること、国連による国際的な平和と安全のための取り組みに協力すること、平和愛好的であることなどが、国連加盟国であることの主な資格といえます。今回の韓国の国連大使による発言は、北東アジアの安定を脅かす北朝鮮がこの「平和愛好国」という原則に適っているかを疑問視したものとみられます。

 この資格を満たしているかの承認は、「安全保障理事会の勧告に基づいて、総会の決定によって」行われます(第4条2項)。ただし、国際連合が第二次世界大戦の終結直後に創設された当時、これらの基準は自動的に当てはめられませんでした。東西冷戦が本格化するなか、ソ連は安全保障理事会で、西側寄りの国の加盟に対して拒否権を相次いで発動。「国連加盟」そのものが東西対立の焦点でもあったのです。

 スターリンが死亡し、東西の緊張がやや緩和された1950年代半ば頃から、国連加盟をめぐる対立は数を減らしました。しかし、それでも東西対立の最前線だった東西ドイツ、南北ベトナム、そして北朝鮮と韓国のような「分断国家」の加盟は政治問題として残りました。その結果、北朝鮮と韓国の場合、冷戦終結の2年後の1991年にようやくそろって国連に加盟できたのです。

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最終更新:3月26日(土)17時0分

THE PAGE

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北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。

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