僕は学生時代から、故松下幸之助の直弟子である、松下政経塾出身の師匠の元で学んでいた。
その中で、東洋思想をベースとした「社会人」と「個人」のあり方を、徹底して学び、徹底して考え抜いてきた。
そして、現代の思想との統合を行うために、数千冊の本を読み、研究に励んできた。
その中で気付いたことの一つは、「個人の成長」といった観点で、
最も読むべきなのは、巷に溢れる「自己啓発書」ではなく、「古典」である。
一部非常に秀逸な自己啓発書もあるので、後ほど紹介する。
典型的な自己啓発書としてよくある、「私の人生で学んだこと論」は、属人性があまりに高く、著者が自らの経験を「集合知」となるまで昇華できていないことが考えられる。
一方で「古典」は、何千年の歴史の中で、過去から未来にかけて、
あらゆる思想を統合した「集合知」であり、非常に汎用性が高い。
但し「古典」にもデメリットがある。
それは、抽象度が高すぎて、一般の人「特に若い人」が読むと、
自らの経験と合わせて理解することが困難なため、遠ざけられやすい。
そのため「マーケティング」の発想で、「古き良きもの」を、「かっこいいもの」として発信する必要があるのだ。
この文脈において「古典を現代の言葉で言い換える」という発想が必要であり、
それを実際に行っている人物、本を紹介する。
古典が最強のビジネスエリートをつくる
※何度も強調して恐縮だがアフィリエイトはやっていない。それはこのブログの趣旨に反する。
以下、この本のアウトラインだ。
第一章 経済活動の深みを知る
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』『フランクリン自伝』
第二章 ビジネスの戦略を学ぶ
『孫子』『ナポレオン言行録』『方法序説』
第三章 精神の柱を築く
『論語』『私の個人主義』『学問のすゝめ』
第四章 日常の意識を変える
『武士道』『君主論』『日本文化私観』
第五章 基本のスキルを磨く
『文章読本』『「いき」の構造』『徒然草』
第六章 才能を開花させる
『ツァラトゥストラ』『史記』『地下室の手記』
「ビジネスパーソンは古典を学ぶべき」と繰り返し強調している。
以下は、非常に共感した一節である。
私たち日本人の最大の失敗は、戦後に精神力を具体的に培ってこれなかったところにあるのではないでしょうか。
このような問題意識に基づき、本著を執筆されている。
古典を体系的に学ぶことができる内容となっており、
分かり易い言葉で丁寧に解説されている。
覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰
著者の池田貴将さんとは、大学2年の頃からかれこれ5年来の付き合いになり、
「志」をともにした「同志」でもあり、僕のメンターでもある。
あと誤解を生みやすいので断っておくが、「ステマ」といった類のものではない。
そんな枝葉にとらわれていれば、21世紀を導くことはできない。
以下、池田貴将さんの公式サイトだ。
彼は「アンソニー・ロビンズ」というアメリカ発の自己啓発の思想を、
東洋思想と統合し、現代の日本人に分かりやすく伝えている。
この本のエッセンスは以下だ。
不安と生きるか
理想に死ぬか
外国の文明を学ぼうと、死罪を覚悟で黒船に乗り込もうとした。
幽閉の処分となると、小さな塾を開いて、高杉晋作や伊藤博文など、後の大臣や大学創設者になる面々を育てた。
誰よりも遠くを見据えながら、幕末を熱く駆け抜けた天才思想家・吉田松陰。
彼の「心」「志」「士」「友」「知」「死」日本史上、最も熱くてリアルな人生哲学が世代を超えて心に響く、強くてやさしい言葉でよみがえる。
彼の自己啓発書は、非常に大局を捉えた視点で「やさしく」書かれているため、
本質的であると考えている。
2022―これから10年、活躍できる人の条件
これは「文明論」の観点から、「プロダクト・ライフサイクル」など、
現代のマーケティング用語を用いて、
「21世紀を生きるためには、どのような覚悟で生きていけば良いのか」
ということが非常に分かりやすく書かれている。
僕の大学生活の方向性を決めた本でもある。
ここでは「引き継ぐべき価値観」「捨てるべき価値観」を見極められるかどうかが、
文明の波の中で生き残れるかどうかを左右するというものである。
非常に秀逸であり、納得性が高く、是非読んでいただきたい。
あと、もっと知りたいと思われる方は、原典を数冊挙げておいたので、
それも是非ご一読いただきたい。
原典を読みたい方は「四書五経」を読むのがベスト
一旦「四書五経」の中で「大学・中庸・論語・孟氏」の「四書」を読んでいただければいいと思う。
以上、「古典」は物事の本質を理解することを助けてくれる、
費用対効果の高い最強の「バイブル」であり、政治家・経営者の方を始め、
「志」ある若い方にも、是非読んでいただきたい。