今回も、テキサス州を中心にシェール企業の大量破綻が生じ、その救済コストが多額に上る可能性がある。
■ 世界の地政学的リスクはますます上昇
シェール企業の大量破綻は、米国以外の他の金融市場にも悪影響を及ぼす。
今年に入ってからのシェール企業の破綻総数はつかめていないが、年間を通して優に100社を超えることが予想される。だが、シェール企業が発行しているジャンク債市場には3月に入ると資金が再び流入しており(3月11日付ロイター)、世界の市場関係者はいまだ警戒心が薄い。
S&L危機の時とは異なり、金融機関はシェール企業に対するレバレッジド(ハイリスク・ハイリターン)ローンを証券化して、世界中の投資家に売りさばくことによりリスク回避を行っている。しかし、チェサピーク・エナジーのような大型シェール企業が破綻し、金融市場に混乱が生じれば、金融商品化した原油先物価格は暴落する。
その後に金融危機が来るかどうかは「神のみぞ知る」だが、米国でシェール企業破綻に端を発する「4月危機」が来れば、ヒートアップしている米国の大統領選挙への(悪)影響も大きいだろう。さらに原油価格のさらなる急落は産油国経済を直撃し、世界のいわゆる地政学的リスクはますます上昇することは論を待たない。
今回の原油価格下落の正念場がいよいよ訪れようとしている。その結末ははたしてどうなるのだろうか。
藤 和彦
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