この作品に限らず、僕は役作りをあまり意識したことがなかったんです。技術的な部分で何かが必要、ということだったら別ですけど、自分自身の何かを変える、というのはしたことがなくて…。もちろん、キャラクターのことは考えますし、その感情もしっかり理解しようとしますけど、芝居はひとりだけでするわけではないので、あとはもう、現場に入ってその空気とか流れに身を任せちゃうような感じです。ドラマが始まる前、村瀬健プロデューサーや並木道子監督からは「晴太は自由気ままで真面目じゃなさそうに見えるところもあるけど、本質を突いているようなことをサラッと言えちゃうようなところもある。それが嫌味じゃないような感じで…」というお話があったんですけど、実は僕も似たようなことを考えていたんです。でも最初は、台本を読んで、こういう行動をする、と書かれていても、その瞬間の晴太は果たしてどこに気持ちがあるのかな、という部分は探り探りのところもありました。感情を爆発させるわけでもなく、落ち着き過ぎているわけでもなく飄々と、という感じなので。結構、際どいところにいるキャラクターなのかな、と。練くんはイマドキの男の子、という感じではなく、むしろ古風なところもあるようなキャラクターですけど、晴太は、何も考えてない風に見えちゃうような部分で、イマドキの男の子なのかもしれません。そんなふたりの対比も面白いな、と思っています。