被災地にゆかりの深い能を披露 国立能楽堂

被災地にゆかりの深い能を披露 国立能楽堂
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東日本大震災で大きな被害が出た宮城県名取市にゆかりの深い能の演目「名取ノ老女」が25日夜、東京の国立能楽堂で上演され、復興への祈りを込めた能が披露されました。
「名取ノ老女」は室町時代の能の演目で、今の宮城県名取市に当たる「名取の里」に住む信心深い老女の元に熊野の神が現れ、祝福を与えるという物語です。
この演目は、明治以降、ほとんど上演されていませんでしたが、震災からの復興を願って25日、東京・渋谷区の国立能楽堂で特別に披露されました。
舞台では、老女役を能の主役に当たるシテ方で人間国宝の梅若玄祥さんが務め、ひたすらに神に祈りをささげる老女の姿をゆったりとした舞いなどで演じました。また、今回は本来の台本にはない老女に寄り添う孫娘の役で子どもが舞台に上がる演出がされていて、神の祝福が、世代を超えて受け継がれてほしいという願いが込められているということです。
会場には、名取市からもおよそ40人が訪れ、復興への祈りがこもった幽玄な舞台に見入っていました。
名取市の70代の男性は「被災地に住む私たちにとって大きな励みになりました。ぜひ地元でも演じてほしいです」と話していました。
「名取ノ老女」の公演は26日まで東京・国立能楽堂で行われます。