中野晃
2016年3月26日03時00分
日本が朝鮮半島を植民地支配した時代に朝鮮語の詩を書き続け、治安維持法違反の罪で服役中に獄死した詩人がいる。尹東柱(ユンドンジュ、1917~45)。その生涯を振り返り、日韓の歩みと未来を考える集いが26日、上京区の同志社大寒梅館ハーディーホールで開かれる。
尹は朝鮮族の多い中国東北部で生まれた。いまの韓国・ソウルの延禧専門学校(現・延世大)を卒業後、42年に日本へ留学。同志社大で学んでいた43年に治安維持法違反の疑いで特高警察に逮捕され、「民族意識を高揚した」などとして懲役2年の実刑判決を言い渡された。45年2月、福岡刑務所で獄死した。
同志社大・今出川キャンパスには尹の詩碑が立つ。韓国からの訪問客が絶えず、訪問客向けのノートは「京都で一番訪ねたい場所でした」などと韓国語で書かれたメッセージで埋まる。日本語で「母国語で詩を書き、獄死させられた隣国の詩人がいるという事実は日本でこそよく知られなければならないと思う」と書いた横浜の女性の思いも記されている。
残り:444文字/全文:878文字