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伊方1号機廃炉 採算より40年ルールだ

 四国電力は、来年9月で運転開始からまる40年となる伊方原発1号機(愛媛県)の廃炉を決めた。

     東京電力福島第1原発事故後、政府は原発の運転期間を原則40年とする新ルールを定めた。原子力規制委員会の許認可を受ければ、最長で20年延長できる。四電は伊方1号機の運転延長を目指したが、多額の安全対策費が必要となるため、採算性がないと判断したという。

     40年は、圧力容器が中性子の照射を受けて劣化する目安とされる。原発の安全性確保の観点からは、採算性とは関係なく、廃炉にしていく必要がある。今回の四電の決定をルール定着につなげたい。

     運転開始から40年となる老朽原発を巡っては昨年3月、関西電力美浜1、2号機(福井県)や九州電力玄海原発1号機(佐賀県)など5基の廃炉が決まった。伊方1号機も廃炉になれば日本の原発は42基に減る。

     廃炉が決まった6基はいずれも出力が30万キロワット級から50万キロワット級で、100万キロワット級が主流となったその後の原発と比べると規模が小さい。

     廃炉の判断は電力会社に任されており、四電以外の電力会社が廃炉に踏み切ったのも採算性の問題だ。規模が小さな原子炉では、多額の安全対策費をかけても、それに見合う発電電力量が得られないためだ。

     一方、関電は、出力が80万キロワット級の高浜原発1、2号機と美浜3号機(いずれも福井県)の運転延長を規制委に申請中だ。安全対策費をかけても割に合うと判断したからだ。

     しかし、老朽原発には、圧力容器の劣化以外にも問題がある。運転開始から時間がたつほど、古い技術の継承者はいなくなる。設計思想自体が古いため、安全性の向上には限界があるという指摘もある。廃炉の判断と原発の出力や経済性とは、切り離して考えるべきなのだ。

     廃炉を着実に進めるためには、その他にも課題が山積している。

     まず、原発の解体で生じる大量の放射性廃棄物の最終処分先が決まっていない。原子炉内の部品など汚染が激しいものについては、処分のための規制基準すらまだない。

     原発の使用済み核燃料を保管する場所の確保も重要だ。政府が掲げる核燃料サイクル路線に基づけば、最終的には青森県六ケ所村の再処理工場に運ばれる。だが、再処理工場は規制委の安全審査中で、稼働時期のめどは立っていない。

     電力会社や政府は、こうした問題を克服していく必要がある。

     廃炉は、原発関連の交付金などに頼ってきた地元自治体の財政や地域経済にも大きく影響する。廃炉ビジネスと地域振興を結びつけるなど、政府の支援も欠かせない。

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