全国教職員労働組合(全教組)が貨客船「セウォル号」沈没事故から2年を迎えるのにあたり、授業用に発行した小学生向け教材「記憶と真実に向けた416教科書」に、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を怪物に例えたような記載があり、物議を醸している。
全教組の小学生向け教材のうち、「セウォル号惨事、誰が責任を取るべきでしょうか」という小単元では「黒い竜が現れ、子どもたちを捕まえていくのにもかかわらず、助けてくれなかった女王が、子どもたちが消えた後になって涙を流した」というあらすじの童話「セウォル号物語」(星森出版社)を引用している。教材の69ページに「女王は口を開いて話しました。すると、口から真っ黒なウジムシがわいてきて、四方に散らばりました。美しかった女王の顔からゆっくりと仮面がはがれ、醜い怪物の姿が現れました」という記述がある。すぐ次の章(70ページ)には朴大統領が2014年5月19日にセウォル号に関する国民向け談話で涙を流す写真を掲載した。このため、「教材を読んだ児童たちが怪物と朴大統領を同一視するよう構成したのでは」と疑問の声が上がっている。
また、全教組の教材はセウォル号事故の原因や救助過程に関する政府発表について「疑問を持っている」「(救助できたはずなのに)本当に救助できなかったのでしょうか?」などと、一部左派団体が提起した根拠のない疑問をそのまま掲載している。韓国教員団体総連合会(韓国教総)関係者は「幼い子どもたちに偏向した思考と不信のイメージばかり植え付ける恐れが高い。セウォル号事故から2年たつのにあたり、犠牲者を厳かに追悼すべき時期なのに混乱をあおっている」とコメントした。
教育部(省に相当)は問題になっている全教組のセウォル号教材(小学生向け・中学生向け)の内容について、海洋水産部・国民安全処といった関係部処(省庁)に事実確認を依頼、これを教材として使用するのが適切かどうか細部まで検討している。