首相 長時間労働是正の具体策検討を指示

首相 長時間労働是正の具体策検討を指示
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安倍総理大臣は一億総活躍社会の実現に向け、長時間労働を是正する具体策を検討するよう関係閣僚に指示しました。政府は、労働基準監督署が事業所に対して指導などを行う時間外労働の基準を80時間に引き下げるとともに、総労働時間を抑制する新たな対策を検討することにしています。
総理大臣官邸で開かれた国民会議には、安倍総理大臣や加藤一億総活躍担当大臣らが出席し、ことし5月にも策定する一億総活躍社会を実現するための工程表の取りまとめに向けて、長時間労働の是正などをテーマに意見を交わしました。
この中で有識者からは「時間外労働についての労使間協定である36協定をしっかり守らせるべきだ」という意見や、「労使の合意によって無制限な時間外労働が許容されており、規制の強化が必要だ」などといった指摘が出されました。
これを受けて、安倍総理大臣は「長時間労働は仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化や女性の活躍を阻む原因となっている。国会に提出中の労働基準法改正案に加え、36協定における時間外労働規制の在り方について再検討を行う」と述べ、長時間労働を是正する具体策を検討するよう関係閣僚に指示しました。
これを受けて政府は、労働基準監督署が事業所に対し、監督や指導を重点的に行う時間外労働の基準を、現在の月100時間から80時間に引き下げて、事業所への指導を強化するとともに、36協定の例外規定を厳格化するなど、総労働時間を抑制する新たな対策を検討することにしています。

経団連会長「長時間労働は生産性向上の阻害要因」

経団連の※さかき原会長は一億総活躍国民会議のあと記者団に対し、「日本企業の慣行となっている長時間労働は、企業の生産性向上の阻害要因となっている。まずはトップが意識改革を行い率先して是正に向けて対策を行うべきだ」と述べました。そのうえで、政府が時間外労働規制の在り方について再検討を行う方針を示したことについて、「経済界としても、どういう形で見直すべきかこれから検討していきたい」と話しました。
※木へんに神

日本商工会議所の三村会頭は一億総活躍国民会議のあと記者団に対し、「中小企業にとって長時間労働の是正は、生産性を上げないかぎり絶対できないので、生産性を上げようというインセンティブが与えられるという意味では非常に大事な課題だと思う」と述べました。一方、「中小企業は多くの企業が人手不足に悩んでいる。そういうことを考慮しないで一律に長時間労働を是正するとなると困ってしまう」と述べ、人手不足への対応策もあわせて講じるべきだという考えを示しました。