東大自転車部出身の熱心なサイクリスト「ビワイチを世界一へ」 琵琶湖のサイクリング振興に懸ける宮本和宏・滋賀県守山市長
「ビワイチを世界一へ」。琵琶湖大橋の東岸に位置し、琵琶湖一周サイクリング「ビワイチ」の拠点化を目指す滋賀県守山市の宮本和宏市長は、東京大学運動会自転車部に所属していた熱心なサイクリストだ。2011年に市長就任後、自転車購入時の補助や、3月18日オープンの「ジャイアントストアびわ湖守山」の誘致にも尽力した。宮本市長がCyclistのインタビューに応じ、自転車を始めたきっかけや今後の目標を語った。
グレッグ・レモンに憧れて
大阪府立四条畷高校時代、宮本市長は片道約7kmを一般自転車で通学していた。ところが1990年のツール・ド・フランスをテレビ観戦し、「グレッグ・レモンのピレネーの走りにくぎ付けになった」という。レモンの人間臭さ、チームで優勝を勝ち取る自転車競技の素晴らしさに関心を抱き、「大学に入ったらぜひ自転車部に入ろう」と心に決めた。
東京大学理工学部に合格し、目標通り運動会自転車部に入部。「競技をやるには自信がなかった」と謙遜するが、所属した「旅行班」ではブリヂストンサイクルのランドナーにまたがり、北海道や東北を1周するなど長距離の旅を楽しんだ。
「学園祭の時には一晩で遠方から帰って来るノンストップランに挑戦し、糸魚川から東京まで320~330㎞、また山形から東京まで約400㎞を走った」と、レーサーに負けない健脚を磨いた。ランドナーのキャリアに荷物バッグ、テントなどたくさんの荷物を乗せ、橋の下に野宿することもあったという。「山道が好き。日光いろは坂や、林道など、テクニックを磨いて速く下れるようになるのが楽しかった」と振り返る。
思い出した自転車の楽しさ
東大卒業後は建設省(現国土交通省)に入省。関東地方整備局住宅整備課長として10都県の市町村にまちづくりのアドバイスしたり、その後守山市役所に出向したりと、仕事に忙しく本格的に自転車に乗る機会は減ってしまった。
しかし昨年、ジャイアントのロードバイクを購入し、自転車に乗る楽しさを思い出したという。
「以前の自転車と比べて格段に軽く、進化に驚いた。走り出すと、風を切る感じ、もっと言えば風になった感じがした。昔、自転車に情熱をかけた思い出がよみがえってきて、時間ができたときには乗るようになった。2、3時間走るだけでも痩せていくのを実感。自転車を通じて仲間も増えた」と、第2の自転車生活をエンジョイしている。
週1回のロングライドと自転車通勤
定番のサイクリングコースは、守山市の自宅周辺から野洲川沿いに琵琶湖まで走るルート。また琵琶湖沿いの湖岸道路など「ビワイチ」に欠かせないルートも走る。アップダウンを楽しむ場合は、信楽まで約60㎞の山岳コースへ。週1回の長距離ライドを大切にしているという。
通勤にも車を使わず、自宅から市役所まで1.5kmの往復をロードバイクで通っている。「朝は風を感じることができて気持ちいい。自転車のおかげで朝から仕事にスッと入れる。ディレーラーの変速する音も大好き」。五感で感じる生粋のサイクリストだ。
守山市長として2期目を迎え、琵琶湖周辺の自転車専用道の整備や、自転車購入時の補助など、自転車にやさしい街づくりを積極的に推進している。
「守山の湖岸地域の活性化が課題。自転車施策により力を入れていきたい。まずは安全に走るためにも、湖岸道路の県道をもっと安心して走れるように県にも働きかけている。車道は路側帯が狭く安全とはいえないので、植栽帯をとって、自転車用レーンにしようと考えている。1m広がればロードバイクの方にもだいぶ走りやすくなる思う」。琵琶湖沿いをいつも自転車で走っているからこそできる提案が、次々と飛び出した。
五感で琵琶湖楽しんで
日本人サイクリストが憧れる「ビワイチ」だが、宮本市長はインバウンド(外国人旅行者)も今後のターゲットに見据えている。
「真っ青な湖面が広がり、山々がそびえる景色の良さ、京都の奥座敷ともいわれてきた歴史、近江牛を代表とするグルメなど、五感で楽しんでいただける。京都にも、関西国際空港にも近い。名古屋から入って、飛騨高山や京都を見て、琵琶湖で1日自転車に乗る―というコースもいい。ビワイチの200㎞は走れなくても、漁船タクシーなどの水上交通を使ってショートカットすることができる」と、サイクリスト誘致へのアイデアは尽きない。
「しまなみ海道に追いついて、超えるような、世界一のサイクリングコースにしたい」と明るい笑顔で決意表明した。