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 中国・北京で100年以上の歴史がある「北京動物園」が、郊外に移設される計画が浮上し、話題を集めている。パンダ目当ての外国人観光客だけでなく、中国人にとってもなじみの深い場所だけに、惜しむ声が広がる。当局は一部の動物を残す「折衷案」も検討している。

 北京動物園は1906年に当時の農事試験場に設けられたのが起源。併設する水族館を含めると、総面積は86ヘクタールに上る。国内で最も歴史のある動物園として知られ、清朝末期に権勢をふるった西太后が離宮として建てた「暢観楼」などの史跡も園内に残る。市中心部から地下鉄で40分ほどの場所にあり、園によると、年間500万人が訪れる。園内にはパンダやキンシコウなど500種類、5千頭の動物を飼育している。

 京華時報によると、北京市計画委員会の黄艶主任は今月初め、移設を計画していると認めたうえで、「祝日や週末の来園者が多すぎて、都市機能に深刻な支障が出ている」と説明。移設先として中心部から離れた南部の大興区を挙げた。時期や園の跡地利用については明らかにしていない。

 一方、黄氏は「園には市民の思い出がある」とも述べ、一部の施設を今の場所に残す考えも示した。ただ、ネット上には「園は市民のもの。当局は市民の意見を聞くべきだ」「簡単に園の運命を決めないで」などの反対意見が目立つ。14日、家族連れで園を訪れた徐波さん(43)は「自分も子どものころから来ている。北京のシンボルのような場所だ。移転してほしくない」と話した。(北京=鬼原民幸)