学生はもちろんこと、社会人の方でも勉強しなければいけないことは多いかと思います。どうせ勉強するなら、効率よくしたいものですよね。効率を上げる方法はいろいろありますが、今回は比較的知られていない(?)方法についてお話ししたいと思います。
勉強前にランニングをしよう
ランニングは、健康に良いのはもちろんのこと、勉強するときにも非常に役立ちます。
研究結果によれば、運動はニューロン形成を促し、記憶力を向上させる効果があるのだとか。さらに、神経幹細胞という、これまた記憶に関わる重要な細胞の増殖も促すのだというのです。驚くべきことに、この神経幹細胞というものは、年を取ると、増殖しなくなり減っていく一方だと思われていた細胞。これが脳が衰えていく仕組みのようなのですが、最近の研究結果によれば、理由は分かっていないながらも、確かにこの細胞が増殖したのです。
記憶力を向上させたい、(たいていの人はそうだと思いますが)脳を衰えさせたくないと思っている人は定期的に運動しましょう。
ちなみに、運動時間は少なくても良いようで、10分程度のジョギングでも効果がありますよ。
勉強の前に水を飲もう
運動した後は喉が渇きますよね。成人の体のおよそ65%は水で出来ているという事実からも分かるように、生きていくのに水分を欠かすことはできません。80%以上が水分でできている脳にとってももちろん、水は重要です。
最近の研究結果によると、約0.5Lの水を勉強などの前に飲むだけで、14%も脳の反応速度が変わったそうです。このことは、勉強時だけではなくて、試験の時にも使えそうですね。この研究結果からは、脳は少しの水分不足ですら敏感に反応し、パフォーマンスに影響する、ということもわかります。
あまり喉が渇いていなかったとしても、水分を補給することは、勉強や試験においては重要です。ぜひ頭の回転を速くしたい場面では、喉の渇きを感じなかったとしても、水分補給することをお勧めします。
いたずら書きをしよう
自分の使っていた中学の教科書を久しぶりに見てみると、落書きが多くてびっくりすることがあります。そんな落書きやいたずら書き、実は勉強するときには効果的かもしれません。
こんな実験結果があります。
40名の被験者に対し、人や場所の名前が出てくる留守番電話のメッセージを聴かせ、その後、記憶している名前を書き出してもらった。被験者のうち半数は、メッセージを聞いている間、紙の上の図形を塗りつぶすよう指示された。実験の結果、彼らは、メッセージを聞いている間にいたずら書きをしなかった被験者よりも、名前の記憶がおよそ30%優れていたという。
(引用元:WIRED|「いたずら書きは集中力を高める」その理由は)
つまり、いたずら書きは集中力を高めてくれる可能性があるということです。
普通に考えれば、勉強中にいたずら書きをすると、気が散ってしまい、集中力が下がりそうなものですよね。ですが、勉強しようとしていることが、自分にとってあまり興味がないものだとしたらどうでしょうか。自分にとって退屈な勉強を黙々としているときには、頭が空想を始めてしまい気が散ってしまう、ということがあります。しかし落書きを行えば、空想を始めずに済みます。
空想と落書きでは、脳にかかる負荷の大きさが違い、落書きの方がましなのだとか。つまり、空想という大きな負荷を避けるために、より負荷の小さい落書きをするほうがいいというわけです。いずれにしても代償が避けられないのであれば、出来る限り小さな方を選びたいものですよね。
そういうわけで、特に退屈な作業の時に集中力を高めるために、落書きはいかがでしょうか。
睡眠学習をしよう
一時期、睡眠学習というものがブームとなり、「寝るだけで英語がペラペラになる」というような宣伝のもと、そのための機械がたくさん売られたこともありました。しかし、そううまい話があるわけがありません。実際、寝てるだけでは英語学習を行うことはできないのです。
ですが、次のような方法をとれば、効果的に睡眠学習が行えるということが分かっています。それは、その日勉強した内容を録音したものを聴きながら寝るという方法。
実験結果によれば、ドイツ語が母国語の人たちにオランダ語の単語を記憶させ、寝るときにその単語の音声を流したところ、そうしなかったグループよりも、記憶量が多かったというのです。
他にも次のような実験があります。
集められた被験者達は2曲の曲の弾き方を覚えます。その後、暗い快適な部屋に移って、90分の睡眠を摂ります。その部屋では、さっき覚えた曲の内、1曲だけが繰り返し流れています。起きてから覚えた2曲を弾こうとすると、睡眠中に聞いていた曲の方がよく思い出すことができました。
(引用元:GIZMODO|ついに、キタ! 効果的な「睡眠学習」の方法が明らかに。)
ここまで見てきてわかるように、睡眠学習というのは、あくまで日中に勉強したことの記憶を強化するためのものであるということ。寝ている間に新しいことを覚えることはどうやら難しいようです。何か勉強した日には、せっかくなので、勉強内容を聴きながら寝てみてはいかがでしょうか。
(参考)
筑波大学|軽い運動でも認知機能は高まる! ―短時間の軽運動でも高まる実行機能と脳内神経基盤の解明―
山元大輔著(2003),『図解雑学 記憶力』,ナツメ社.
SUNTORY|水大辞典
The Telegraph|Thirsty work: drinking water can improve reaction times
WIRED|ランニングは脳の老化を防ぐ!?:研究結果
WIRED|外国語を学ぶには睡眠学習が効果的:研究結果
WIRED|「いたずら書きは集中力を高める」その理由は
GIZMODO|ついに、キタ! 効果的な「睡眠学習」の方法が明らかに。