「たまこ-」モデルの玩具店、閉店へ 京都・出町商店街
人気アニメ「たまこまーけっと」に登場する玩具店のモデルとされる、京都市上京区の出町桝形商店街の「イカワトーイ」が今春閉店することになった。店主が高齢であることなどが理由だが、店じまいを知ったアニメファンからは惜しむ声が寄せられている。
店主の井川紀久子さん(81)によると、店は約90年の歴史を持つという。最盛期の1965年ごろには、わずか10坪の店舗ながら、井川さんと夫の故従次さん以外に従業員4人を抱えていたこともあった。
89年に従次さんが亡くなった後は、クリスマスなど繁忙期以外は井川さんが一人で店を守ってきた。しかし販売不振が続き5年ほど前から閉店を検討していた。3年前の「たまこ-」放送開始後、アニメに登場する店としてにわかに脚光を浴びた。
「たまこ-」では、主人公の友人の祖父が営む玩具店が登場する。舞台とされる出町桝形商店街に玩具店はイカワトーイ以外になく、外観も似ているため、全国からアニメファンが集まった。
店頭に飾ってほしい、とアニメに登場する鳥をかたどった自作のぬいぐるみを持参したファンがいたほか、店の写真を撮り井川さんと1時間近く話し込む若者もいたという。
しかし、ここ数年は「もうけがない」(井川さん)状態だといい、自身も高齢であることから今春で閉めることを決めた。閉店をインターネットで知ったという若者が来店したほか、山梨県のファンから「本当にやめるのか」という問い合わせ電話もかかってきた。
店内には約300点が並ぶが、現在は割引きして販売している。井川さんは「主人と広げてきた店。最後まで好きな商売をしていたい」と全品を売り切って玩具店の歴史に幕を下ろすつもりでいる。
【たまこまーけっと】2013年にKBS京都などで放映された京都アニメーション(宇治市)制作のアニメ。出町桝形商店街がモチーフとされる「うさぎ山商店街」近くに住む、餅店の娘で高校生北白川たまこをめぐる物語。アニメではたまこの友人、常盤みどりの祖父が経営する玩具店「トキワ堂」が登場する。
【 2016年03月25日 15時00分 】