2016年3月25日12時56分
大阪府大阪狭山市のホームヘルパーの男性(31)が、府警天満署で器物損壊容疑で任意の取り調べを受けた際、「アホ」「お前なめてんのか」などと暴言を浴びせられたとして、近く特別公務員暴行陵虐と職権乱用の両容疑で署員を刑事告訴する。府警は「不適当な発言があったことは把握しているが、調査中でコメントできない」としている。
捜査関係者らによると、昨年10月18日午後11時半ごろ、大阪市北区のマンション前で、路上に駐車していた住人の乗用車の窓ガラスが傷つけられる事件があった。現場にブロック片が落ちていた。
天満署員が駆けつけると、車の所有者が「衝撃音を聞いて外に出たら男性が現場にいた」と説明。男性が任意の聴取を受けた。男性は当時同じマンションに住んでおり、事件発生時に付近の路上で知人女性と携帯電話で話していた。
男性や代理人の弁護士によると、男性は署で翌19日午前0時から約5時間、取り調べを受けた。否認したが、「お前しかおらん」「早く認めろや」と署員が言い、「女性と電話中に腹を立てて、落ちていたブロックを車に投げた」との内容の供述調書に署名した。
男性は11月27日に再び任意聴取を受け、「やっぱり身に覚えがない」と訴えると、取り調べを担当した署員2人は「逮捕されんぞ、お前」「眠たい話は聞かれへん」「なんで反省できへんのじゃ、アホ」と発言。男性がはり師などの国家資格の取得を目指していることをとらえ、「そんなんでわしらと同じ公務員になれるんか」と大声を出す場面もあったという。男性はこのときの様子をICレコーダーで録音していた。
府警もこうしたやり取りがあったことを把握。「アホ」などの不適当な発言があったとして、関係した署員に話を聴いている。
男性は12月10日に書類送検され、大阪地検は同14日に不起訴処分(起訴猶予)にした。男性によると、男性の父親が車の所有者に示談金を支払ったという。
男性側は、現場近くにある防犯カメラ映像を署が確認していない▽ブロック片の指紋照合をしていない▽携帯電話の通話相手の女性を聴取していない――として捜査が不十分だったと主張。取り調べ後に「不安抑うつ障害」と診断されたとして、近く府に220万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こす。
容疑者の取り調べ適正化に関する国家公安委員会の規則では、不安を覚えさせたり、尊厳を著しく害したりするような言動を「監督対象行為」に当たるとして禁止している。
■取り調べ中のやり取り(男性の録音から。抜粋)
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朝日新聞社会部
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